精選版 日本国語大辞典 「生り業」の意味・読み・例文・類語
なり‐わい‥はひ【生業・家業】
- 〘 名詞 〙
- ① 五穀が実るようにつとめること。田畑を耕作すること。農耕。農業。また、その作物。
- [初出の実例]「万調(よろづつき) 奉る官(つかさ)と 作りたる その奈里波比(ナリハヒ)を 雨降らず 日の重れば 植ゑし田も 蒔きし畠も 朝ごとに 凋(しぼ)み枯れ行く」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二二)
- 「春たねをまきて夏よく養へば、必秋に至りて、なりはひ多きが如し」(出典:養生訓(1713)一)
- ② 生活していくための仕事。世わたりの仕事。職業。家業。せいぎょう。
- [初出の実例]「あはれ、いと寒しや、今年こそ、なりはひにも、頼む所すくなく」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
- 「又売して生活(ナリハヒ)とし給へり」(出典:読本・南総里見八犬伝(1814‐42)二)
- ③ 小正月の予祝行事として、若木で小さな百姓道具を作って祝うこと。
生り業の語誌
漢語「生計」に対応する和語。奈良・平安時代に多用されたが、中世には、文章語の性格が強くなり、近世になると文語色の濃い談義本や読本などで用いられた。