江戸中期の1713年(正徳3)に出た大衆衛生書で、貝原益軒(かいばらえきけん)の晩年の著。四巻。父の指導で早くから医薬知識をもった益軒はその後も研鑽(けんさん)を続け、53歳のとき高弟竹田定直(さだなお)の助力で古来の中国医書から養生に関する語を選び、『頤生輯要(いせいしゅうよう)』五巻を編した。それからの取捨選択と、さらに自分の体験に基づきまとめたもの。要旨は、内欲(飲食、性欲)を抑え、外邪(寒熱)を防ぐことにあり、主体的な健康維持への努力を強調しており、総論、飲食、飲茶、煙草(たばこ)、慎(しん)色欲、五官、二便、洗浴、慎病、択医、用薬、養老、育英、鍼(はり)、灸(きゅう)の各項が事実に即した考えをもとに具体的に詳論される。もちろん、陰陽思想に基づく迷信的な面もあるが、薬万能の現代への警告として、また老人の生き方を説く書として再評価されている。
[井上 忠]
『『益軒全集 第三巻』(1911・隆文館)』▽『『益軒十訓 下巻』(有朋堂文庫)』▽『松田道雄編『日本の名著 貝原益軒』(1969・中央公論社)』▽『荻原井泉水著『益軒養生訓新説』(1975・大法輪閣)』▽『伊藤友信訳『養生訓――全現代語訳』(講談社学術文庫)』
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貝原益軒(えきけん)の心身修養論。8巻。1713年(正徳3)成立。「益軒十訓」の一つ。中国の医書からの書抜きを分類してまとめた「頤生輯要(いせいしゅうよう)」(1682)を通俗的な訓戒の書に要約し直したもの。総論・飲食・飲酒・飲茶・たばこ・慎色欲・五官・二便・洗浴・慎病・択医・用薬・養老・育幼・鍼・灸法の項目からなり,具体的な知見にもとづいて記す。「益軒全集」「日本の名著」「岩波文庫」所収。
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