日本大百科全書(ニッポニカ) 「生徒規則」の意味・わかりやすい解説
生徒規則
せいときそく
中学校、高等学校で、生徒指導の大綱的基準として定めた学校内規の一種。生徒が学校生活の指針として心得ておかなくてはならない学習面、生活面での各種の行動規範を示したもので、校則と通称される。生徒心得ともいう。生徒規則は学則の施行細則の性格をもつが、学則とは異なり法令上の根拠はない。生徒規則は、通例、学則とあわせて生徒手帳に収録されており、学校の教育方針のほか、服装・髪形・所持品の規制、学習態度、学校内外での行動、アルバイトなどについて規定している。自動車・オートバイの規制を強化する例も多い。この種の規定は、アメリカ、中国など諸外国にも多い。生徒規則は、いわば学校として「期待される生徒像」を示したものであるが、あまりに規制が細かすぎると生徒の自主性を損なうおそれもある。かねてから生徒規則は生徒個人の権利や自由を阻害するとの批判が強く、1988年(昭和63)には文部省(現文部科学省)がその内容と運用のあり方についての検討を指示し、全国的な生徒規則(校則)見直しの機運が高まった。さらに、1997年(平成9)の子どもの権利条約批准に際しては、生徒規則の服装や頭髪の規定がふたたび問題となった。
[下村哲夫]
『坂本秀夫著『「校則」の研究――だれのための生徒心得か』(1986・三一書房)』▽『尾山宏・高野範城編著『子どもの人権と管理教育――いじめ・体罰、校則の実態と法的問題点』(1986・あけび書房)』▽『高野桂一著『生徒規範の研究』(1987・ぎょうせい)』▽『「月刊高校生」編集部編『管理・校則・体罰――問題点と改革の方法』増補版(1990・高校出版)』▽『坂本秀夫著『こんな校則あんな拘束』(1992・朝日新聞社)』▽『坂本秀夫著『校則裁判』(1993・三一書房)』▽『芹沢美保・芹沢俊介著『ある闘いの記録――頭髪校則の撤廃をもとめて』(1993・北斗出版)』▽『栃木県弁護士会編『校則と子どもの権利』(1996・栃木県弁護士会)』▽『岡崎正道著『校則はいらない――親・子・教師で創った理想の公立中学校』(2000・明窓出版)』