生産費・所得補償方式(読み)せいさんひ・しょとくほしょうほうしき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生産費・所得補償方式」の意味・わかりやすい解説

生産費・所得補償方式
せいさんひ・しょとくほしょうほうしき

生産者米価の算定方式。1960年産米から採択され 1995年まで採用されていた。米作に要した肥料代,農薬代,機械償却費など農家の生産費と,都市勤労者(製造工業)の平均賃金稲作労働を評価した金額を加算した。物財費など生産費を補填して再生産が可能な米価水準を維持し,また都市労働者並みの賃金を補償することをおもな目的としていた。その後,米価の内外格差が問題となり,「今後のわが国稲作の担い手と思われる農家の生産費を基礎とする」と決定され,全国を 9地区に分けて,各地域で生産性が平均以上の農家を対象とする地域方式が採用された。しかし稲作の生産性と無関係に生産者米価が上昇しすぎ,米価の売買逆ざやが 1970年頃から問題とされ,食糧管理特別会計赤字一因とされた。1975年以後,段階的な逆ざや縮小を進め,1987年の米価改定で事実上解消され,1995年食糧管理法が廃止されたことにより,撤廃された。

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