労働基準法において,平均賃金とは原則としてこれを算定すべき事由の発生した日以前3ヵ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を,その期間の総日数で除した金額のことである(12条)。労働基準法は,労働者が実際に労働をしなくても,一定の金額を支給してその生活を保障する規定を設けている。たとえば,解雇予告手当(20条),休業手当(26条),有給休暇中の手当(39条4項),災害補償(76,77,79~82条),就業規則による減給の制限額(91条)がある。それらの支給額を算定する基準として設けられたのが平均賃金である。なお,平均賃金は健康保険や厚生年金保険における標準報酬,平均標準報酬と違い,個別的に算定される。
執筆者:香川 孝三
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