生鉱吹(読み)なまこうぶき

改訂新版 世界大百科事典 「生鉱吹」の意味・わかりやすい解説

生鉱吹 (なまこうぶき)

銅が溶鉱炉によって製錬されていた時代の溶錬法の一つ。銅製錬に用いる鉱石には黄銅鉱黄鉄鉱が含まれている場合が多く,現在では浮遊選鉱によって黄鉄鉱や脈石を分離して精鉱としてから製錬を行うが,20世紀初めころまではこの技術がなく,したがって銅の品位は低く,鉄,硫黄分の高い鉱石を製錬しなければならなかった。そのため,溶鉱炉に入れる前に鉱石をあらかじめ焙焼(ばいしよう)し,溶鉱炉では,コークス石炭を多く用いて,この燃料の燃焼により炉温を維持し,炉内で還元を行わせた還元吹と,鉱石を焙焼することなく,溶鉱炉で鉄と硫黄を酸化してこれを熱源とし,なるべく燃料を使わないで溶錬する方法とがあった。後者は鉱石を生のまま入れるので生鉱吹といわれた。廃ガス中の二酸化硫黄の量は当然高かった。現在は溶鉱炉での溶錬はほとんど行われていないが,用いているところでは基本的には生鉱吹である。しかし精鉱の銅品位が高くなったため,炉温維持に補助燃料を用いなければならず,以前の生鉱吹とは異なっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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