生魂神(読み)いくむすびのかみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「生魂神」の意味・わかりやすい解説

生魂神
いくむすびのかみ

高御魂(たかみむすび)、神魂(かむむすび)など多くの魂神(むすびがみ)のなかの一神。「むす」は生産の意で、物を生産する能力を神格化したもの。農耕社会では、物の生産促進に関心が高いところから、多くの魂神が誕生したのであろう。宮中では御巫(みかむなぎ)が奉仕する八神のなかに入り、また天皇中宮のための鎮魂祭(たましずめのまつり)の祭神ともなっている(延喜式(えんぎしき))が、これは衰える魂に活力を与えるには、生産する神がふさわしいと考えられたからであろう。

[守屋俊彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の生魂神の言及

【生魂】より

…ムスビとは,古く日本人がさまざまな霊威,威力(働き)を神聖なものと感得したことを示す。〈生魂神〉は,御巫(みかんなぎ)によって神産日(かみむすび)神,高御産日(たかみむすび)神,足産日(たるむすび)神などとともに,神祇官の八神殿奉斎神としてまつられ,天皇の魂を鎮め,あるいは活力の促進を祈る鎮魂祭にあずかる神々の一神であった。【大井 鋼悦】。…

※「生魂神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む