田中善吉(読み)たなか・ぜんきち

朝日日本歴史人物事典 「田中善吉」の解説

田中善吉

没年:明和4(1767)
生年元禄7(1694)
江戸中期の紀州(和歌山)藩地士(旧土豪),商人紀伊有田郡箕島村(和歌山県有田市)に住む。名草郡黒江村(海南市)に店を持ち漆器塗物の仕入販売をする。代々廻船業を営み諸国を往来した。元文1(1736)年10月,藩命で甘蔗苗と栽培法を求めて薩摩へ往き,翌年3月帰国して砂糖製法を伝えたが,このとき,櫨実にも着眼して良種を購求し,製蝋法も調査する。元文2,3(1737,38)年にかけて播種し苗木500本を得る。藩庁に願い出て箕島村で試植して成功。のち藩内への普及増殖を計った。延享2(1745)年海士・有田・日高3郡普及方,同4年口六郡在々打廻り,寛延2(1749)年口六郡両熊野在々打廻りとなり,紀州全域の山野を歩いて櫨樹の増殖に努め,民益に尽くした。<参考文献>箕島町誌刊行会編『箕島町誌たちばな乃里

(笠原正夫)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「田中善吉」の解説

田中善吉 たなか-ぜんきち

1694-1767 江戸時代中期の殖産家。
元禄(げんろく)7年3月生まれ。元文元年和歌山藩の命をうけ,薩摩(さつま)(鹿児島県)でサトウキビの栽培と製糖法,ハゼノキの栽培と製蝋(ろう)法をまなび,藩内で普及につとめた。明和4年10月死去。74歳。紀伊(きい)有田郡(和歌山県)出身本姓田口。号は考敦。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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