タークシン(その他表記)Taksin

改訂新版 世界大百科事典 「タークシン」の意味・わかりやすい解説

タークシン
Taksin
生没年:1734-82

18世紀後半のアユタヤ朝滅亡後,ビルマ(現ミャンマー)軍を撃退してタイの独立を回復し,新たにトンブリーに都を開いた(トンブリー朝)タイ国王在位1767-82年。中国史料では鄭昭として知られる。徴税請負人であった中国の潮州澄海華富里出身の華僑を父とし,タイ人を母としてアユタヤに生まれた。幼名はシン。アユタヤ朝の高官養子となり,長じて宮廷に仕え才能を認められ,プラヤー・ターク(ターク国主)に任命され,次いでカンペンペット国主となった。1767年アユタヤ陥落に先立ち南東部のラヨンに退いていたタークシンは兵力を糾合して反撃の態勢を整え,ビルマ遠征軍を駆逐してタイの独立を回復した。自ら国王となると,群雄割拠の状態にあったタイの再統一を目ざし,10年余にわたり自ら兵を率いて征討の軍を進め,すべての地方勢力を支配下におさめた。外に向かっては4次にわたるビルマの再侵入を防ぎ,ラオスのチャンパサックを併合し,ルアンプラバン,ビエンチャンを服属させ,カンボジアに兵を派遣して宗主権回復をはかるなど積極策をとった。晩年,精神錯乱を理由として部下により処刑された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タークシン」の意味・わかりやすい解説

タークシン
たーくしん
Phraya Taksin
(1734―1782)

タイ国王(在位1767~82)。徴税請負人であった潮州華僑(かきょう)を父とし、タイ人を母としてアユタヤに生まれた。幼いころから利発さを認められ、高官の養子となる。長じて官途につき、ターク(タイ西部)の国主に任じられた。1767年、アユタヤがビルマ遠征軍の攻撃を受け陥落する直前、彼は南東部のタイランド湾沿岸地方へ赴き、兵力をたて直すと、ふたたび北上してビルマ(現ミャンマー)占領軍を駆逐、タイの独立を回復した。王位についたタークシンは新たにトンブリーを王都に定め、15年にわたり自ら各地に兵を進めて国内秩序の回復に努めたが、1782年、王の乱心を理由とするクーデターが発生して処刑され、トンブリー朝は一代で滅びた。

石井米雄

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タークシン」の意味・わかりやすい解説

タークシン
Taksin

[生]1734
[没]1782
タイ,トンブリ朝の王 (在位 1767~82) 。ピヤ・タークシンともいう。華僑の子で,中国名を鄭昭という。アユタヤ朝がビルマ軍によって滅亡したのち,同王朝の武将タークシンがビルマ軍を退け,1767年バンコクの対岸トンブリに王朝を開いた。しかし在位 10年頃から精神に異常をきたし,暴政のため人心を失い,82年処刑された。のち配下のラーマ1世がバンコクにチャクリー朝を創建した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「タークシン」の解説

タークシン
Taksin

1734~82(在位1767~82)

タイの国王。華僑(かきょう)系の混血児で中国名は鄭昭(ていしょう)。アユタヤ朝を滅ぼしたビルマ軍を撃退して即位し,タイの国難を救ったが,反乱が起こって殺され,バンコク朝に代わられた。

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世界大百科事典(旧版)内のタークシンの言及

【タイ】より

…アユタヤ朝は,バーンプルールアン王家のボロマコート王(在位1733‐58)の治世下に学芸がおおいに栄え,仏教使節をセイロンへ派遣して衰微した首都キャンディに戒壇を復興させるなど,仏教国アユタヤの名声は海外にも響いたが,王の死後,後継者を得ず,1767年ビルマの侵攻を受けて滅亡し,アユタヤは416年の歴史の幕を閉じた。
[ラタナコーシン朝]
 アユタヤ朝滅亡後ただちにビルマ軍を撃退して1767年みずから王位についたタークシンは,徹底的に破壊された王都アユタヤの再建をあきらめ,より河口に近いトンブリーに新たな都を開いた。タークシンはその後も執拗に繰り返されたビルマの侵入を撃退しつつ,まず旧畿内の諸〈ムアン〉の秩序を確立すると,みずから兵を率いてピッサヌローク,ピーマイ,ナコーンシータマラートを制圧,さらに進んで,カンボジア,ラオス,ラーンナータイを攻撃し,アユタヤ以来の宗主権を回復した。…

※「タークシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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