トンブリー(その他表記)Thonburi

デジタル大辞泉 「トンブリー」の意味・読み・例文・類語

トンブリー(Thomburi)

タイの首都バンコク中心部の一地区チャオプラヤー川西岸、現王宮の対岸に位置する。トンブリー朝時代の1767年から1782年に王都が置かれた。

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改訂新版 世界大百科事典 「トンブリー」の意味・わかりやすい解説

トンブリー
Thonburi

タイ中部の同名県の県都。人口26万2097(1980)。メナム川(チャオプラヤー川)の右岸で,バンコクの対岸に位置する。1971年以来,行政的にはバンコク首都圏に属している。沿岸に近い地域には商店街,製材所,精米所などが密集し,周辺地域には果樹園や野菜畑,さらに乾季作を主とする水田が広がっている。都市域から周辺の農村部にかけて縦横運河クローン)が走っており,人々の重要な水上交通路となっている。最近は,これらの運河網に加えて道路整備が急速に進みつつある。1767年にアユタヤビルマ(現ミャンマー)軍によって陥落した後,プラヤー・タークタークシン王)はビルマ軍を撃退してこの地に王都を置き,トンブリー朝(1767-82)を開いた。しかし後年,タークシン王は狂気を理由に処刑され,チャオプラヤー・チャクリ(ラーマ1世)が王位につき,王都を対岸に移してラタナコーシン朝バンコク朝)を創立した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンブリー」の意味・わかりやすい解説

トンブリー
とんぶりー
Thonburi

中部タイ、トンブリー県の県都。チャオプラヤー川右岸に位置し、対岸の首都バンコクとバンコク大都市圏を形成する。人口26万2097(1980)。1767年、王都アユタヤがビルマ軍により陥落してアユタヤ王朝は滅亡したが、華僑(かきょう)系の部将タークシン(中国名、鄭昭)がビルマ軍を破ってタイを再興、翌年トンブリーを新しい王都とした。しかしトンブリー王朝は一代で滅び、チャクリ王朝(現王朝)にかわり、王都も対岸バンコクに遷都した。

 旧王都であるため遺跡に富み、とくにチャオプラヤー川に面するアルン寺院は暁の寺として知られ、仏塔からの眺望はすばらしい。トンブリー県の後背地は水田、果樹園地帯で、バンコクの重要な果物供給地である。水路がよく発達していて舟が重要な交通手段であり、水上マーケットには観光客が多く訪れる。しかし、近年の首都バンコクの膨張はすさまじく、果樹園は住宅地や工場に変わりつつある。バンコクへ通勤する人々も急激に増加し、都市化に伴う交通問題は深刻である。

[友杉 孝]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トンブリー」の意味・わかりやすい解説

トンブリー
Thon Buri

タイの首都バンコクチャオプラヤー川以西の地区。以前はバンコクと分離しており,1767~82年まで首都だった。1972年対岸のバンコクに合併され,クルンテープ地区とともに首都圏を構成している。河岸にワット・アルンがあることで知られる。

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百科事典マイペディア 「トンブリー」の意味・わかりやすい解説

トンブリー

タイ中部,チャオプラヤー川河口から約30km,同川西岸に位置するバンコク市の一区。バンコクの対岸にある工業都市。精米,製粉,製材などのほか機械,兵器,製油などの工場もある。1767年トンブリー朝の都となったが,1782年ラーマ1世がバンコク朝を興して対岸に都を移した。1972年バンコクに併合された。

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世界大百科事典(旧版)内のトンブリーの言及

【タイ】より

…アユタヤ朝は,バーンプルールアン王家のボロマコート王(在位1733‐58)の治世下に学芸がおおいに栄え,仏教使節をセイロンへ派遣して衰微した首都キャンディに戒壇を復興させるなど,仏教国アユタヤの名声は海外にも響いたが,王の死後,後継者を得ず,1767年ビルマの侵攻を受けて滅亡し,アユタヤは416年の歴史の幕を閉じた。
[ラタナコーシン朝]
 アユタヤ朝滅亡後ただちにビルマ軍を撃退して1767年みずから王位についたタークシンは,徹底的に破壊された王都アユタヤの再建をあきらめ,より河口に近いトンブリーに新たな都を開いた。タークシンはその後も執拗に繰り返されたビルマの侵入を撃退しつつ,まず旧畿内の諸〈ムアン〉の秩序を確立すると,みずから兵を率いてピッサヌローク,ピーマイ,ナコーンシータマラートを制圧,さらに進んで,カンボジア,ラオス,ラーンナータイを攻撃し,アユタヤ以来の宗主権を回復した。…

※「トンブリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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