日本大百科全書(ニッポニカ) 「トンブリー」の意味・わかりやすい解説
トンブリー
とんぶりー
Thonburi
中部タイ、トンブリー県の県都。チャオプラヤー川右岸に位置し、対岸の首都バンコクとバンコク大都市圏を形成する。人口26万2097(1980)。1767年、王都アユタヤがビルマ軍により陥落してアユタヤ王朝は滅亡したが、華僑(かきょう)系の部将タークシン(中国名、鄭昭)がビルマ軍を破ってタイを再興、翌年トンブリーを新しい王都とした。しかしトンブリー王朝は一代で滅び、チャクリ王朝(現王朝)にかわり、王都も対岸バンコクに遷都した。
旧王都であるため遺跡に富み、とくにチャオプラヤー川に面するアルン寺院は暁の寺として知られ、仏塔からの眺望はすばらしい。トンブリー県の後背地は水田、果樹園地帯で、バンコクの重要な果物供給地である。水路がよく発達していて舟が重要な交通手段であり、水上マーケットには観光客が多く訪れる。しかし、近年の首都バンコクの膨張はすさまじく、果樹園は住宅地や工場に変わりつつある。バンコクへ通勤する人々も急激に増加し、都市化に伴う交通問題は深刻である。
[友杉 孝]