ろう(読み)ロウ

デジタル大辞泉 「ろう」の意味・読み・例文・類語

ろう[助動]

[助動][〇|〇|ろう|ろう|〇|〇]《推量の助動詞「らむ」の音変化》活用語終止形連体形に付く。推量の意を表す。…だろう。
「さぞほねこそをれるらうとおもうて」〈虎清狂・鏡男〉
[補説]主に室町時代に用いられた。「ろ」となることもある。

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精選版 日本国語大辞典 「ろう」の意味・読み・例文・類語

ろうらう

  1. 〘 助動詞 〙 ( 活用は「◯・◯・ろう・ろう・◯・◯」。推量の助動詞「らむ」の変化したもの ) 活用語の終止形に、ただしラ変活用には連体形に付いて、推量の意を表わす。…だろう。
    1. [初出の実例]「得たらば得ざらまし、賢く得ざりける、けうに得ざるらうにとこそとき給はめ」(出典:米沢本沙石集(1283)三)
    2. 「人がみるらうとて不平なぞ」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)八)

ろうの補助注記

「ろう」以外の活用形はなく、完了の助動詞「つ」に付いた「つろう」、推量の助動詞「うず」に付いた「うずろう」の例がかなり多い。

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普及版 字通 「ろう」の読み・字形・画数・意味


15画

[字音] ロウ(ラウ)

[説文解字]

[字形] 形声
声符は良(りよう)。〔説文〕十二上に「門高きなり」とあり、とは高大のさまをいう。

[訓義]
1. 門が高大であること、高い門。
2. 建物の高いさま。
3. 明らかで大きい。
4. うつろ、からぼり。

[古辞書の訓]
名義抄 タカシ 〔字鏡〕 タカカド・ホカミ・マラ

[熟語]

[下接語]
・酔


17画

[字音] ロウ

[字形] 形声
声符は婁(ろう)。手押し車の形で種き、また耕作に用いる器。下にすき、上に種籠をのせ、推しながら操作する。

[訓義]
1. たねまきの器、手押しの耕作の器。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 カラスキ

[熟語]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ろう」の意味・わかりやすい解説

ろう
ろう / 蝋
wax

一価アルコール(ときには二価アルコール)の脂肪酸エステルで、ワックスともいう。しかし名称では、習慣上、この化学的な区別に準拠しないものがある。たとえば、抹香鯨油(まっこうげいゆ)は脂肪油ではなくて液体ろうであり、木ろうはろうではなくて脂肪である。ろうは、液体ろう、動物性固体ろう、植物性固体ろうに分類される。

[福住一雄]

液体ろう

液体ろうは少数で、抹香鯨油、槌鯨(つちくじら)油はこれに属する。

 抹香鯨油は、マッコウクジラの頭蓋(とうがい)中の脂肪様物質を冷却して析出する固体(鯨(げい)ろうという)を除去して得られる液体ろうである。セチルアルコールおよびオレイルアルコール脂肪酸エステルが主成分。酸敗しにくく、温度変化による粘度変化が小さく、精密機械の潤滑油として用いられる。また、けん化して得る高級アルコールは合成洗剤の原料となる。槌鯨油の性状、用途は抹香鯨油と似ている。しかしオレイルアルコールの含有量が多く、70%以上に達する。

[福住一雄]

動物性固体ろう

鯨ろうみつろうイボタろう、羊毛脂などがある。

 鯨ろうは、抹香鯨油およびツチクジラの脳油を冷却して得た析出物を分離して採取する固体ろうである。みつろうは、ミツバチの巣から蜂蜜(はちみつ)を採取した残渣(ざんさ)を加温圧搾あるいは溶剤抽出して得られる暗赤色あるいは暗褐色固体である。

 イボタろうは、イボタノキの寄生虫イボタロウムシが分泌する黄色を帯びた白色固体物質である。融点80~83℃。主成分はセロチン酸セリル。つや出し料などに使用される。羊毛脂は、原毛の精練液に無機酸を添加して得る粘着性物質である。精製したものをラノリンと称する。

[福住一雄]

植物性固体ろう

植物の幹、葉、果皮などの表面に広く分布しているが、量は少ない。カーナバろう、モンタンろうなどがある。

 カーナバろうは、ブラジルに産するカーナバ樹(ロウヤシ)の葉の上に析出する帯黄緑色のろうである。もっとも固いろうとして知られている。不けん化物55%程度。主成分は炭素数26~34のアルコールおよび脂肪酸からなるろうエステルである。その硬度を利用して、つや出し料やラッカーなどに用いられる。モンタンろうは、褐炭から得られる黒色のろうである。つや出し料として用いられる。

[福住一雄]

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化学辞典 第2版 「ろう」の解説

ろう
ロウ
wax

一般には,脂肪酸と高級一価アルコールの固形エステルをいう.しかし,マッコウ鯨油のように化学的組成からはろうに属するにもかかわらず,常温で液状であるために油というものもあり,また木ろうのようにグリセリドでありながら,外観がろうに似ているのでろうとよぶものもある.エタノール,クロロホルムなどに可溶,水に不溶.ろうは大別すると次のようになる.

このほかに,石油精製プロセスで分離されるパラフィン分を主体とした石油ろうとよばれるものがある.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ろう」の意味・わかりやすい解説

ロウ
Rowe, Nicholas

[生]1674.6.20. ベッドフォードシャー,リトルバーフォード
[没]1718.12.6. ロンドン
イギリスの劇作家,詩人。弁護士から劇作家に転じ,悲劇『継母の野心』 The Ambitious Stepmother (1700) を皮切りに,『タマレーン』 Tamerlane (02) ,『美女の悔悟』 The Fair Penitent (03) ,『ジェーン・ショア』 Jane Shore (14) などを発表。教訓的道徳的な作風によって劇壇の風潮と対照的な位置を占めた。 1715年には桂冠詩人に任命された。また,シェークスピアの最初の校訂者となって全集を編纂 (09) し,その序文として最初の本格的なシェークスピア伝を執筆した。

ろう
wax

脂肪酸と高級一価アルコール類とのエステル。ろうはその性状から固体ろう,液体ろう,また出所により動物ろう,植物ろうに区別される。ろうは水に不溶,クロロホルム,熱アルコールに可溶であるが,脂肪よりも加水分解を受けにくく,安定であり,空気中で変質しにくく,細菌にも侵されない。サイジング,ろうそく,医薬,香料原料に用いられる。例として蜜ろう,いぼたろう,鯨ろうなどがある。普通,ろうと呼ばれている木ろうや原油から製造されるパラフィンろう (石ろう) は,成分的にはここでいうろうと異質のもので,前者は融点の高い油脂であり,後者は固体炭化水素である。

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デジタル大辞泉プラス 「ろう」の解説

ロウ

イギリスのロック・ミュージシャン、デヴィッド・ボウイのアルバム。1977年発表。ブライアン・イーノとの共同作業に基づく実験的作品で、いわゆる「ベルリン3部作」の第1作。全英アルバムチャート2位を記録。原題《Low》。

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栄養・生化学辞典 「ろう」の解説

ろう

 化学物質としては脂肪酸と高級アルコールのエステルで常温で固形状のものをいうが,より広く類似の物性を示すもの,例えば炭化水素,高級アルコール,合成高分子化合物などもろう,ワックスとよばれることがある.

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