甲子吟行(読み)カッシギンコウ

精選版 日本国語大辞典 「甲子吟行」の意味・読み・例文・類語

かっしぎんこうカッシギンカウ【甲子吟行】

  1. 芭蕉の俳諧紀行文「野晒紀行(のざらしきこう)」の別称。甲子紀行(かっしきこう)

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改訂新版 世界大百科事典 「甲子吟行」の意味・わかりやすい解説

甲子吟行 (かっしぎんこう)

芭蕉の俳諧,紀行。1巻。《野ざらし紀行》《甲子吟行画巻》とも呼ばれる。1685年(貞享2)夏ころより着手され,87年秋ころまでに成稿となり,のち門人中川濁子(じよくし)による清書本が完成した。1684年8月から翌年4月までの9ヵ月間に及ぶ,東海道,伊勢,伊賀,吉野,大垣,名古屋,奈良,京都,水口鳴海木曾,甲斐を回る旅を,〈野ざらしの心に風のしむ身哉〉など自作の45句を中心にまとめた芭蕉最初の紀行作品。全体は秋21句と冬・春・夏24句に大別される。前半秋の部は緊張した悲愴感が読みとれるが,それは杜甫,西行の世界を踏まえることによって,自己の発句漢詩和歌等質のものとしようとする創作意識の結果であった。対して後半部は,自由な雰囲気のなかでの各地の俳人たちとの交遊を事実のままに配列し,後年の紀行作品にくらべて四季別の句集的性格が強くなっている。本作品の特色は,成稿の時点で芭蕉自筆自画の絵巻物へと発展し,さらに素堂の跋文が付加されたことである。絵と跋文は,やや不十分な紀行本文を補足するとともに,この時期の芭蕉の西行に対する傾倒,なかでも《西行物語絵巻》に対するそれが顕著である。
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