甲斐が根・甲斐の白根(読み)かいがね・かいのしらね

日本歴史地名大系 「甲斐が根・甲斐の白根」の解説

甲斐が根・甲斐の白根
かいがね・かいのしらね

歌枕。「古今集」巻二〇に東歌の「かひうた」として次の二首が載る。「かひがねをさやにも見しがけけれなくよこほりふせるさやの中山」「かひがねをねこし山こし吹く風を人にもがもやことづてやらむ」。また平安時代に歌われたと思われる古代歌謡の風俗歌中に「甲斐が嶺」と題した歌がある。「甲斐が嶺に白きは雪かやいなをさの甲斐の褻衣けごろもや晒す手作や晒す手作」。これらの歌から、甲斐が根(嶺)に「さやの中山」「風」などの景物が付くことになった。一方、「後拾遺集」には紀伊式部の「いづかたとかひのしらねはしらねども雪ふるごとに思ひこそやれ」が載り、「甲斐の白根」と「雪」がともに詠まれることとなった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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