畏まり(読み)カシコマリ

デジタル大辞泉 「畏まり」の意味・読み・例文・類語

かしこまり【畏まり】

恐れ謹むこと。
「今日は皆乱れて―なし」〈・三〉
尊貴相手行為をもったいなく思い恐縮すること。
「きたなげなる所に、年月をへて物し給ふこと、極まりたる―」〈竹取
感謝の言葉。お礼。謝辞
「みづからなむ参り侍りて、又々―も啓すべき」〈落窪・三〉
言いわけ。わびごと。
「久しくさぶらはぬ―聞えむ」〈宇津保嵯峨院
おとがめを受けること。謹慎すること。勘当勘気
「―許されて」〈・九〉
つつしんで言葉を承ること。
「御返りに―のよし申して」〈・八六〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「畏まり」の意味・読み・例文・類語

かしこまり【畏・恐】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「かしこまる(畏)」の連用形の名詞化 )
  2. 相手の威厳に押されたり、自分に弱点があったりして恐れつつしむこと。遠慮すること。
    1. [初出の実例]「仲忠、なほ身の数ならず、よの心にもかなはねば、なほかしこまりをだにこそあれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
    2. 「けふは皆みだれてかしこまりなし」(出典:枕草子(10C終)三)
  3. 高貴な人が自分に対して示した行為を、もったいないと思うこと。ありがたいこと。恐縮すべきこと。
    1. [初出の実例]「きたなげ成る所に年月を経て物し給ふ事、きはまりたるかしこまりと申す」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  4. お礼のことば。謝辞。
    1. [初出の実例]「参り侍て、又々かしこまりも啓すべき」(出典:落窪物語(10C後)三)
  5. おわびのことば。申しわけ。
    1. [初出の実例]「久しくさぶらはぬかしこまり聞こえん、とてなんさぶらひつる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
  6. 目上の人の怒りにふれて、謹慎すること。
    1. [初出の実例]「さて、かしこまり許されて、もとのやうになりにき」(出典:枕草子(10C終)九)
  7. つつしんでことばをうかがうこと。うけたまわること。
    1. [初出の実例]「『いみじうめでたからんとこそ思ひたりしか』など仰せられたる、御返りに、かしこまりのよし申して」(出典:枕草子(10C終)八六)

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