番町会(読み)ばんちょうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「番町会」の意味・わかりやすい解説

番町会
ばんちょうかい

昭和戦前期に日本商工会議所会頭、日本経済連盟会長などを歴任し財界大御所として活躍した郷誠之助(ごうせいのすけ)を囲む財界人のグループ。メンバーは河合良成(かわいよしなり)、永野護(まもる)、小林中(あたる)、長崎英造正力松太郎(しょうりきまつたろう)、中島久万吉(くまきち)らで、東京都麹町(こうじまち)番町の郷の私邸に毎月1回集まったところから「番町会」とよばれた。これらのメンバーが1934年(昭和9)の帝人事件の際に一斉に検挙されたことから、番町会の名は広く知られるようになった。

[芳井研一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「番町会」の意味・わかりやすい解説

番町会
ばんちょうかい

第2次世界大戦前,財界の巨頭で財界世話役として知られた郷誠之助を中心として,財界の斡旋調停などに活躍した少壮実業家のグループ。東京・番町の郷男爵邸で毎月 18日に会食したところからその名がある。この会は,永野護,河合良成,長崎英造,正力松太郎,小林中ら,気鋭のメンバーを含み,政商的性格が強かった。台湾銀行から帝人株の払下げを斡旋し,これが 1934年帝人事件に発展して有名となった。ときの斎藤内閣は番町会をバックとし,商相中島久万吉は番町会のメンバーであったため,この疑獄事件が一因で倒閣した。

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百科事典マイペディア 「番町会」の意味・わかりやすい解説

番町会【ばんちょうかい】

財界の巨頭郷誠之助の番町の私邸に集まった永野護,河合良成,小林中らの若手財界人グループ。1923年ころから1934年ころまで続いた。帝人事件で有名。旧番町会メンバーは戦後も政・財界に活躍。

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世界大百科事典(旧版)内の番町会の言及

【郷誠之助】より

…渋沢栄一,井上準之助,団琢磨なきあとの昭和初期財界の大御所として政界にも影響力をもった。大正中期ころから若手実業家を麴町上二番町の私邸に招く月例の番町会を催していたが,これが,帝人事件の舞台として喧伝された。36年に引退を声明して経済団体・会社の役職から退いたのちも,内閣参議,中央物価統制協力会議議長,経済団体連盟会長,大政翼賛会顧問,大日本産業報国会顧問,重要産業統制団体協議会会長などに就任し,戦時経済体制の強化に尽力した。…

【帝人事件】より

…1927年金融恐慌で鈴木商店が破産したとき,子会社の帝人株を台湾銀行が担保としてとったが,台銀も日銀から特別融通を受けたため,その担保として同株は日銀に入れられた。その後,帝人が好調に業績をあげたので,同株を入手しようという動きが活発となり,33年5月財界グループ番町会の河合良成らが10万株を入手した。これに対し34年1月武藤山治(元鐘紡社長)経営の《時事新報》が〈番町会を暴く〉を連載して番町会の帝人乗っ取りで,中島久万吉商工相らも関与した不正があると攻撃,3月武藤の暗殺で疑惑が拡大した。…

※「番町会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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