異常3色覚(読み)いじょうさんしきかく(英語表記)anomalous trichromatism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「異常3色覚」の意味・わかりやすい解説

異常3色覚
いじょうさんしきかく
anomalous trichromatism

網膜の錐体視物質(→錐状体)の先天的な機能低下による色覚異常。旧称は色弱。L錐体M錐体S錐体の 3種類からなる網膜錐体細胞のうち,L錐体または M錐体の錐体視物質の機能低下例をそれぞれ 1型3色覚,2型3色覚と分類する。S錐体由来の例はないと考えてよい。1型3色覚および 2型3色覚は X染色体連鎖劣性遺伝形式をとり,色覚異常のなかでの頻度はそれぞれ報告により差があるが,1型3色覚は 13%,2型3色覚は 63%とされる。色の違いとして認識できる色光の波長のずれを検査することで得られる波長弁別閾値曲線では,正常色覚者は 400nmから 700nmの波長範囲において 0.05nm以下の波長変化で色の違いを認識できる。2色覚者は 495nm(1型)または 500nm(2型)付近の白色として認識する波長(中性点)では波長弁別閾値が良好であるが,中性点から少し波長がずれると色の弁別が急激に低下する。異常3色覚者は波長弁別閾値が正常色覚者よりも低下しているものの,多くが正常色覚者と同じ波長範囲において色の相異を認識できることが多い。すなわち,異常3色覚は 2色覚と異なり,正常色覚に近く,日常生活に支障がない例が多い。異常3色覚と正常色覚との鑑別には石原色覚検査表IIが最も精度が高いとされているが,異常3色覚の程度判定はアノマロスコープを使用しても難しい。

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