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色覚異常 シキカクイジョウ

デジタル大辞泉の解説

しきかく‐いじょう〔‐イジヤウ〕【色覚異常】

色の見え方や感じ方が多くの人とは異なる状態。網膜にある錐体細胞の遺伝的な欠損や変異によって起こる先天色覚異常と、加齢や病気によって色覚が変化する後天色覚異常に大別される。→赤緑色覚異常
[補説]かつては全色盲・色盲・色弱などの呼称が一般的に用いられたが、誤解を招きやすいことから、1色覚2色覚異常3色覚などの呼称が使用されるようになった。

色覚異常の呼称
現在の眼科用語旧称
1色覚全色盲
2色覚色盲
 1型2色覚・2型2色覚 赤緑色盲
 3型2色覚 青黄色盲
異常3色覚色弱
 1型3色覚・2型3色覚 赤緑色弱
 3型3色覚 青黄色弱

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

色覚異常

色を感じる目の細胞働きによって、赤と緑、ピンクと水色などの色の識別が難しくなる状態。程度は人によって違う。女性に2本、男性に1本あるX染色体の異常が原因。現在、科学的根拠がある治療法はないと考えられている。

(2013-09-19 朝日新聞 朝刊 1総合)

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百科事典マイペディアの解説

色覚異常【しきかくいじょう】

色の区別がつかないか,つきにくい状態をいう。全国に300万人といわれ,男性の約5%,女性の約0.2%に発生する。伴性遺伝で,男性に多い遺伝形式のひとつ。 網膜には赤,緑,青の3色にそれぞれ反応する色素をもつ細胞があり,これによって色を区別している。

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世界大百科事典 第2版の解説

しきかくいじょう【色覚異常】

色の区別ができないか,困難な状態をいう。一般には色盲color blindnessあるいは色弱color weaknessとして知られるが,最近は色覚異常としてまとめることが多い。先天性後天性のものがあるが,大部分は先天性のもので,これは色覚の機能不全による。
[先天性の色覚異常]
 一色型色覚二色型色覚および異常三色型色覚に分類される。一色型色覚は1色しか判別できないもので,いわゆる全色盲,全色弱がこれにあたり,二色型色覚は部分色盲ともいわれ,赤緑色盲および青黄色盲が含まれる。

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大辞林 第三版の解説

しきかくいじょう【色覚異常】

目の網膜にある錐状体すいじようたいの機能特性により、色覚の三要素(赤・緑・青)のいずれかが弱いか欠いた状態。色覚に軽度の異常が見られる異常三色型色覚(色弱)、赤・緑・青の色覚のいずれか一つを欠いた状態である二色型色覚、二つを欠いた状態である一色型色覚(全色盲)がある。一色型色覚は極めて稀。その程度はさまざまであり、他の色との区別は可能であるなど、日常生活に支障を来さないことが多いにもかかわらず、職業選択や進学などで制限を受けてきた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

色覚異常
しきかくいじょう
colour deficiency; defective colour vision

正常色覚者とは色の識別が異なる状態。網膜視細胞である錐体細胞(→錐状体)の異常により生じ,先天色覚異常と後天色覚異常とに大別される。錐体細胞はピーク波長感度特性により長波長感受性錐体(ピーク波長 565nm:L錐体),中波長感受性錐体(545nm:M錐体),短波長感受性錐体(440nm:S錐体)に分けられる。L錐体,M錐体は X染色体(→性染色体),S錐体は常染色体(7番)支配である。正常色覚はすべての錐体が機能しているが,L錐体,M錐体,S錐体のいずれかの欠損例を 2色覚,いずれかの機能の低下例を異常3色覚と呼び,さらに L錐体,M錐体,S錐体の異常をそれぞれ 1型,2型,3型と分類する。先天色覚異常は 1型2色覚,1型3色覚(この場合は「異常」という用語は使用しない)および 2型2色覚,2型3色覚がほとんどで,まれに錐体が欠損している 1色覚がある。3型は数例の報告にとどまる。したがって一般的に先天色覚異常は X染色体連鎖性劣性遺伝形式と理解して問題なく,その頻度は日本では男性の 5%,女性の 0.2%にみられ,白人では頻度が高い。先天色覚異常は色の識別においてある種の色を混同することがある場合を除いて,光覚や視力などの視機能に異常はない。検査は仮性同色表の石原色覚検査表IIや Farnsworth dichotomous test(D-15),アノマロスコープなどで行なう。後天色覚異常は色の認知以外に視力,視野などの視機能の異常を伴い,網膜から視中枢でのさまざまな障害により生じる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

色覚異常
しきかくいじょう

色覚が通常の場合と違い、すべての色、あるいはある色の識別ができないか、困難な状態をいう。人間の網膜の視細胞には錐状体(すいじょうたい)(錐体)と桿状体(かんじょうたい)(桿体)とがあるが、錐体は明るい所で働いて色の情報を感じるが、桿体は暗い所で働いて色を感じない。したがって、ある程度以上の明るさがなければ人間の目は色を感じない。網膜には赤・緑・青に対する感受性を有する3種の錐体受容器があり、色を伝える信号に変えて脳に送り、色の感覚が生じる。色覚異常は大きく先天性の色覚異常と後天性の色覚異常に分けられる。また、色盲ということばは、かつては色覚異常全般をさす一般的な呼び名として用いられたが、学術的には色盲と色弱は明確に分類されている。なお、「色盲(しきもう)」「色弱(しきじゃく)」という表現は、現在はほとんど用いられない。
 後天色覚異常は網膜や視神経疾患によっておこるもので、先天性を除いたすべての色覚異常をさし、ヒステリーなどによっておこる心因性のものも含まれる。
 先天色覚異常は一色覚(いちしきかく)(旧称は全色盲)、二色覚(にしきかく)(旧称は赤色盲(せきしきもう)、緑色盲(りょくしきもう)、青黄色盲(せいおうしきもう)、青色盲)、異常三色覚(さんしきかく)(旧称は色弱)に大別される。[太田安雄]

一色覚

外界の事物を白黒写真のようにただ明暗と濃淡を感じる状態で、桿体(かんたい)一色覚(旧称は桿体一色型色覚)と錐体一色覚(旧称は錐体一色型色覚)がある。桿体一色覚は、視力が0.1以下で、明所でまぶしく、眼球振盪(しんとう)(眼球の律動的運動で、眼振ともいう)があり、錐体機能が欠け、桿体機能だけが存在する。緑(通常では黄)をもっとも明るく感じ、赤は暗く感じる。錐体一色覚は、錐体の機能をもち、一色覚でありながら視力は正常か正常に近いものが多く、まぶしさや眼振がない。

二色覚

網膜に存在する3錐体のうち、赤錐体(正式名称は長波長感受性錐体またはL-錐体)の欠損したものを1型二色覚(旧称は赤色盲、第1色盲)、緑錐体(中波長感受性錐体またはM-錐体)の欠損したものを2型二色覚(旧称は緑色盲、第2色盲)、青錐体(短波長感受性錐体またはS-錐体)の欠損したものを3型二色覚(旧称は青黄色盲、青色盲、第3色盲)とよんでいる。1型二色覚は赤とその補色の青緑が灰色に見え、2型二色覚は緑とその補色の赤紫が灰色に見える。3型二色覚は赤と緑は感じるが、青と黄を灰色に感じる。

異常三色覚

赤・緑・青の3種の色光の混色により、すべての色光と等色できるが、それぞれの錐体に異常あるいは減弱があり、この錐体異常が赤錐体にあれば1型三色覚(旧称は赤色弱、第1色弱)、緑錐体にあれば2型三色覚(旧称は緑色弱、第2色弱)、青錐体にあれば3型三色覚(旧称は青黄色弱、青色弱、第3色弱)を呈する。異常三色覚は、通常と変わらない軽度のものから、二色覚に近いものまで、その範囲は広く存在している。異常三色覚は、異常三色型色覚ともよばれた。

色覚異常の遺伝形式

赤緑色覚異常(1型二色覚と2型二色覚)は、日本では男性の20人に一人にみられ、女性の500人に一人にみられる。その遺伝形式は伴性劣性遺伝(X染色体劣性遺伝)で、女性では性染色体が1対あるので、二つの染色体がともにその遺伝質をもたない限り症状として発現せず、男性では1個あるだけなので遺伝質があれば症状は発現する。したがって、女子には出現率が低く、保因子をもつ母親を介して子の男子に遺伝する。
 3型二色覚(青黄色覚異常)の遺伝形式は常染色体優性遺伝であり、その出現率の頻度は1万人ないし5万人に1人といわれている。[太田安雄]

治療・予後

色覚異常は先天性の場合がほとんどであるから、自分では認識しておらず、自分なりに緑あるいは赤を認知しているので、日常生活にはあまり支障はない。現在、先天性の色覚異常に対する治療法はいずれも確立されていない。後天性のものでは原病の治療が第一で、通常は疾患の治癒とともに色覚も改善する。
 後天的な色覚異常は疾患や障害によって二次的におこり、色覚異常の程度は症状の増悪(ぞうあく)や軽快に並行している。この異常は、しばしば種々の症状より先に現れ、疾患が治癒したと考えられる時期にも残っていて、完全に通常の状態に戻るまでにはかなり時間を要する。疾患の際の色覚検査は、予後の判定や診断に役だつので臨床的検査として用いられる。[太田安雄]

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