色覚異常の種類を分類し、その程度を判定する検査器械。スペクトルの混色を応用したナーゲルNagel式が有名。被験者がのぞき穴から見ると、上下に二分された円形視野があり、上半分にはスペクトル中の赤と緑の単色光が混合した色が見え、下半分には黄色の単色光が見え明るさのみが変化するようになっている。この上下の色光を、両端のねじを回しながら調節して、色調が等しくなるようにする。この均等状態をレーレーRayleigh均等(レイリー均等)とよぶ。黄色は波長が一定しており、明度だけが変化し、赤と緑はその混合の比率が変化するようになっており、上下の色が均等したときの赤と緑の分量から正常か異常かを決め、異常の場合は種類や程度も決められる。
[太田安雄]
…色覚の学説としては,網膜の錐体には,赤,緑,紫の色によりそれぞれもっとも強く興奮する三つの要素があり,その興奮する割合によって色の感覚が生ずるというヤング=ヘルムホルツの三要素説が有力である。色覚の検査方法としては,異常の検出には仮性同色表である色盲検査表,異常の型の分類にはアノマロスコープおよび異常の程度の判定には色相配列検査であるパネルD‐15,100hue検査などがある。異常の程度の判定には,色の名を答えさせるランターン試験もある。…
…この場合,色覚ばかりでなく視力も障害されるのが通常である。
[色覚異常の診断と日常の生活]
臨床上は色盲表およびアノマロスコープanomaloscopeによって,赤緑色覚異常の分類が行われるが,この分類は日常生活での不便さとは必ずしも一致しない。そこで,職業の適性検査などでは,ランターン試験や色相配列検査を併せて行う。…
※「アノマロスコープ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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