畳なわる(読み)タタナワル

デジタル大辞泉 「畳なわる」の意味・読み・例文・類語

たたなわ・る〔たたなはる〕【畳なわる】

[動ラ五(四)]幾重にも重なる。また、重なり合って連なる。
お召羽織の裾が…座布団の上に―・って」〈鴎外青年
「登り立ち国見をせせば―・る青垣山」〈・三八〉

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精選版 日本国語大辞典 「畳なわる」の意味・読み・例文・類語

たたなわ・るたたなはる【畳】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 山などが幾重にも重なり合ってつらなる。重畳する。
      1. [初出の実例]「高殿を 高知りまして 登り立ち 国見をせせば 畳有(たたなはる) 青垣山」(出典万葉集(8C後)一・三八)
    2. 本来長いもの、広いものが、一か所にたたみ重なる。
      1. [初出の実例]「かうぶりたたなはり、つるばみのきぬやれくづれ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
      2. 「紅梅の織物の御衣に、たたなはりたる御髪のすそばかり見えたるに」(出典:堤中納言物語(11C中‐13C頃)このついで)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙[ 一 ]
    1. [初出の実例]「御ぐし、御もにすこしたらぬほどにて、〈略〉よれたりしもにうちたたなはれたるいとめでたし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)

畳なわるの補助注記

「たたなづく」と同じように、「たたぬ」や「たたむ」と関連があると思われるが、語源は明らかではない。「青垣(山)」を形容するのも「たたなづく」と同じである。このため、[ 一 ]の「万葉集」の用例は、原文「畳有」を「畳付」の誤りとして「たたなづく」と訓む説もある。また、人麻呂が、「そらみつ」を「そらみつ」と変化させたように、「たたなわる」を「たたなづく」に変化させたという説もある。→「たたなづく」の補注

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