痔核に試みられる新しい治療法

六訂版 家庭医学大全科 の解説

痔核に試みられる新しい治療法
(直腸・肛門の病気)

①ALTA療法(ジオン)

 脱出する痔核ALTA硫酸アルミニウムカリウム・タンニン酸液)を注射し、痔核を線維化して括約筋(かつやくきん)癒着固定させて治す新しい注射療法です。

 注射のみで痛みなく治せますが、薬が強いため注射の仕方によっては直腸潰瘍(かいよう)狭窄(きょうさく)等の合併症を来す危険性があります。合併症を避け、十分な効果を得るために、痔核を4箇所に分けて適量を注射する独特の4段階注射法が必要です。

 外痔核には血栓疼痛を生じるため注射ができないので、内痔核もしくは内痔核が大きな内外痔核に適応があり、脱出するすべての痔核に適応となるわけでありません。そのため、注射できない外痔核部分は手術する、併用した治療法も試みられつつあります。

②PPH:サーキュラー・ステープラーを用いた痔核手術

 脱出する痔核をいったん肛門内にもどし、その結果生じた直腸側の(ゆる)んだ部分を器械吻合(ふんごう)器で全周性に切除吻合(縫合)し、痔核を吊り上げて治す方法です。

 従来の手術では脱出する痔核部分を直接に切除していましたが、この方法は痔核部分に触れずに吊り上げて固定するような方法のため、疼痛もなく痔核を治せることが特徴とされました。

 しかし脱出は治っても内外痔核は残るため、長期経過後に再発しないかが不明ですし、外痔核が大きな内外痔核は手術しても効果が得られないことや、器械を用いて切除吻合する際に全周性に侵襲(しんしゅう)を与えるという事実、そして半数の例に筋肉の一部が切除されてしまうという事実から、侵襲の少なくない術式であることがわかってきました。

 そのため、全周性に脱出する内痔核を主とした症例を十分に選んで行うことが必要な方法といえます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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