痘痕も靨(読み)アバタモエクボ

デジタル大辞泉 「痘痕も靨」の意味・読み・例文・類語

痘痕あばたえくぼ

恋する者の目には、相手あばたでもえくぼのように見える。ひいき目で見れば、どんな欠点でも長所に見えるということのたとえ。

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精選版 日本国語大辞典 「痘痕も靨」の意味・読み・例文・類語

あばた【痘痕】 も 靨(えくぼ)

  1. 好きになると相手のあばたでもえくぼのように見える。ほれていると相手の欠点も長所のように見える、また、ひいき目で見れば醜いものも美しく見える意にいう。
    1. [初出の実例]「巖石にひとしき菊石(アバタ)も壱つによってゑくぼと成り」(出典洒落本・伊賀越増補合羽之龍(1779)通菴内之だん)

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ことわざを知る辞典 「痘痕も靨」の解説

あばたも靨

好きになると、醜いあばたさえ可愛らしいえくぼに見える。惚れた目には欠点までも長所に見えるというたとえ。

[使用例] 恋愛とは陶酔ですから、いつでも相手を冷静に、まるで科学実験のモルモットでも調べるように眺めるというわけにはいかない。恋愛をすれば、どうしても相手のアバタもエクボと見えるのは当然でしょう[遠藤周作*恋愛とは何か|1972]

[解説] 「あばた」は、ほうそう天然痘)が治ったあとに顔面に残る発疹の跡のことで、広く類似した吹き出物の跡を指しても用いられます。靨は、笑った時にできる頬の窪み。客観的には両者を見まちがうことはあり得ないが、誇張表現によっておかしみを添え、印象を強めています。

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