(読み)エクボ(英語表記)dimple

翻訳|dimple

デジタル大辞泉 「靨」の意味・読み・例文・類語

え‐くぼ〔ゑ‐〕【×靨】

《「笑窪」の意》笑うとき、ほおにできる小さなくぼみ。

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精選版 日本国語大辞典 「靨」の意味・読み・例文・類語

え‐くぼゑ‥【靨】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「笑窪」の意 )
  2. 笑うとき、ほおに生じる小さなくぼみ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「てんもくほどなゑくぼが、両のほほに七八十百ばかりいって」(出典:虎明本狂言・枕物狂(室町末‐近世初))
  3. 痘痕(あばた)を皮肉の気持をこめていう語。
  4. 魚の目と鰓(えら)との間にあるくぼみ。

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普及版 字通 「靨」の読み・字形・画数・意味


23画

[字音] ヨウエフ
[字訓] えくぼ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は厭(よう)。〔説文新附〕九上に「なり。面に從ひ、厭聲」とするが、〔淮南子、説林訓〕に「靨(えふほ)頰(ほほ)に在るときは則ち好く、(ひたひ)に在るときは則ち醜し」とあって、えくぼをいう。

[訓義]
1. えくぼ。
2. ほくろ、顔のほくろ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕靨 ヱクボ・ハハクソ

[熟語]
靨児靨笑靨飾・靨靨靨
[下接語]
頤靨・歓靨・嬌靨・秀靨・小靨・笑靨・翠靨・青靨・星靨双靨・団靨・鈿靨・微靨・宝靨

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「靨」の意味・わかりやすい解説

靨 (えくぼ)
dimple

笑ったとき,ほほえんだときなどに顔面,とくに口角周辺に出る皮膚のくぼみ。これは表情筋,とくに笑筋masculus risoriusとよばれる筋が皮膚の裏面に付いており,この筋の収縮に際して,皮下脂肪の層をかきわけて皮膚を引きこむために生じると考えられている。顔面の皮下脂肪が厚く,皮膚そのものは柔らかな子どもや女性によく現れることも,この考えから説明できる。日本では,女性や子どもの明るさ,若さ,ときには美の表出として文学絵画にも現れるが,えくぼを観賞対象とする感覚は,欧米にはないようである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【延性破壊】より

…延性破壊の過程の多くは,材料中に存在する介在物や析出物あるいは転位の集積部のようなひずみの不連続な部分で塑性変形によって微小空洞が発生・成長する過程と,それらが合体する過程の二つに分けられる。延性破壊した材料の破面には,ディンプルdimpleとよばれる多数の小さなくぼみ状の模様が観察される。相対する破面上におけるディンプルの向きによって破壊に寄与した応力状態がわかる。…

【フラクトグラフィー】より

…最近の走査電子顕微鏡の普及はフラクトグラフィーを急速に発展させた。延性破壊ではディンプルdimpleと呼ばれる多数の小さなくぼみ状の模様が見られる。ディンプル破面のなかにも円形のもの,伸ばされたものなどが存在し,破壊に寄与した応力状態がディンプルの形状,向きによって判別できる。…

【筋肉】より

…また口角には多くの筋肉が放射状に集まり,これらの収縮によって口を開ける(目を開ける,すなわち上眼瞼を挙上するのは外眼筋の働きで,表情筋ではない)。口角からほおの皮膚にのびる小さい筋肉は笑筋で,その収縮によってほおの皮膚を引いて,いわゆる〈えくぼ〉をつくる(しかし,えくぼの成因に関しては,そのほかの要素も関係している)。ほおの深層には頰筋(きようきん)があって,水を飲んだり,物を食べるときにきわめて重要な働きをする。…

※「靨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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