国指定史跡ガイド 「白河官衙遺跡群」の解説
しらかわかんがいせきぐん【白河官衙遺跡群】
福島県西白河郡泉崎村にある白河官衙跡。指定名称は「白河官衙遺跡群 関和久官衙遺跡(せきわくかんがいせき) 借宿廃寺跡(かりやどはいじあと)」。関和久にある関和久官衙遺跡は、阿武隈(あぶくま)川左岸に面した段丘上に位置し、7世紀末から8世紀初頭に成立。古代白河郡(現在の白河市・西白河郡・東白川郡・石川郡)の中心官庁として律令制度の政治を行った役所跡。古瓦や礎石が確認され、南側低地に古代白河郡の正倉院(官立の倉が集合している区域)があり、北側段丘上に郡庁があったことがわかっている。9世紀前半に規模・建物の数は最大になり、最盛期を迎えるが、その後衰退し、10世紀後半には郡衙としての機能を停止した。1984年(昭和59)に国指定史跡となった。関和久官衙遺跡へは、JR東北本線泉崎駅から車で約10分。仮宿にある借宿廃寺跡は、関和久官衙遺跡の南西約1.5kmの阿武隈川右岸の段丘上にあり、古瓦と礎石の存在が知られていた。2003年(平成15)からの発掘調査により、塔・金堂・講堂の基壇跡が確認され、西に塔、東に金堂が並ぶ法隆寺式の伽藍(がらん)配置で7世紀末の創建と考えられた。そして、このころの寺院は、官衙に付属することが多いところから、2010年(平成22)に国の史跡に指定され、関和久官衙遺跡とともに、白河官衙遺跡群と名称変更された。借宿廃寺跡へは、東北本線久田野(くたの)駅から車で約15分。