レトロウイルス科オンコウイルス亜科に属し、成人T細胞白血病(ATL:adult T-cell leukemia)などの原因となるウイルス。正しくはヒトT細胞白血病ウイルスで、略称HTLV。Ⅰ型(HTLV-Ⅰ)とⅡ型(HTLV-Ⅱ)に分類され、かつてⅢ型(HTLV-Ⅲ)とされていたウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)であることがわかった。HTLV-Ⅰ、HTLV-Ⅱともにリンパ球に好んで感染するため、ヒトTリンパ好性ウイルスhuman T-lymphotropic virusともよばれる。成人T細胞白血病の原因ウイルスとなるのはHTLV-Ⅰである。
HTLV-Ⅰによる感染症は、日本では九州、四国、沖縄など西南地方に偏在していたが、全国的に拡散していることが確認され、国内に108万人、全世界には3000万人以上のHTLV-Ⅰキャリアがいると推定される(2014年時点)。成人T細胞白血病は精液や血液、母乳などを介して感染するリンパ系腫瘍(しゅよう)であり、成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL:adult T-cell leukemia/lymphoma)ともよばれる。皮膚病変、リンパ節腫脹、肝脾腫(かんひしゅ)、高カルシウム血症などを伴って発症するが、貧血や出血といった症状があまりみられない特徴がある。また、病型や病状の進行経過から急性型、リンパ腫型、くすぶり型、慢性型の四つに分けられる。くすぶり型と慢性型は急性に進行しないため、皮膚病変や関節症状などに対する治療のみで経過観察を行い、急性に転じた時点で抗癌(がん)剤治療を開始する。急性型、リンパ腫型には、悪性リンパ腫に準じた複数の抗癌剤を組み合わせた薬物治療が行われる。これまでこれ以外の有効な治療法はなく、1年以内に死亡する例がほとんどであったが、近年になって同種造血幹細胞移植が有効であると報告され、今後の成果に期待が寄せられている。
[編集部]
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