日本大百科全書(ニッポニカ) 「百丈山」の意味・わかりやすい解説
百丈山
ひゃくじょうざん / パイチャンシャン
「はじょうざん」ともいう。中国、江西省南昌(なんしょう)府奉新県にある山。山中にある千尺の滝にちなみ百丈山といい、群山に秀峰を突出させるさまから大雄山ともいう。784年(興元1)馬祖道一(ばそどういつ)の法嗣(はっす)懐海(えかい)が入山して郷導庵(きょうどうあん)(百丈寺)を建立し、雲集した僧徒のために叢林(そうりん)の清規(しんぎ)(『百丈清規』)を選定したことで有名である。懐海は法堂(はっとう)、僧堂は建立したが仏殿は建立せず、現身の仏を説き、日常生活の労働(作務(さむ))を重んじて実践的修道を示した。会下から黄檗希運(おうばくきうん)、潙山霊祐(いさんれいゆう)、大慈中、百丈涅槃(ねはん)らが輩出し、洪州系禅の主流をなした。唐の宣宗が勅して大智寿聖禅寺(だいちじゅしょうぜんじ)を建てて以降、伽藍(がらん)も整い、各代を通じて重要な山となった。
[里道徳雄]