中国、中唐期の禅僧。漢州(かんしゅう)(四川(しせん)省)什邡(じゅうほう)県の出身で、俗姓が馬氏のため馬祖と通称される。州の羅漢寺(らかんじ)に投じ、資州処寂(ししゅうしょじゃく)(648―734)の下で出家し、益州長松山、荊南(けいなん)明月山などで修行した。ついで南岳懐譲(なんがくえじょう)に師事し、「南岳磨磚(なんがくません)」の話によって心印を得、建陽(けんよう)(福建省)仏迹巌(ぶっしゃくがん)で開法した。その後、江西省の新開寺、龔公(きょうこう)山、開元寺などに住して宗風を挙揚し、湖南の石頭希遷(せきとうきせん)と並び称された。馬祖やその門人たちには口語による説法の記録が多く伝わり、後世の膨大な禅宗語録出現の契機となった。788年2月1日、泐潭(ろくたん)の石門山宝峰寺で示寂した。1966年『馬祖禅師舎利石函(かん)題記』が石門山で出土発見された。
[石川力山 2017年4月18日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…無念体上に本知有りとし,知の一字こそ衆妙の門であるとする。しかし,慧能以後の禅の主流は,本知よりも今の作用に重点をおく,馬祖道一とその周辺の人々によって推進される。念を動かし心を起こし,弾指動目する日常行為のすべてが,仏性の作用である。…
※「馬祖道一」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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