百姓名（読み）ひゃくしょうみょう

山川 日本史小辞典 改訂新版

百姓名
ひゃくしょうみょう

土名(どみょう)とも。荘園や国衙(こくが)領で領主名・地頭名・荘官名などではない一般の百姓の名。領主名などに比べて小規模で，荘園領主に対しては年貢・公事(くじ)ともに負担した。領主によって徴税，とくに公事の徴収の円滑化のため編成され，農業経営の単位とは必ずしも一致しない。畿内には1～2町の均等な大きさの百姓名からなる荘園があり，均等名(きんとうみょう)荘園とよばれる。

出典　山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」

世界大百科事典（旧版）内の百姓名の言及

【名】より

…　第2次大戦後，律令制下において人別に賦課されていた調庸が，土地別に賦課されるようになった際に，荘園よりもむしろ公領において名が成立したという説が出されて，研究はいっそう進展した。その後，名には比較的小規模な〈百姓名〉と大規模な〈領主名〉とがあること，平安初中期からみられる名＝請作権(地)と平安末期からみられる名田＝私有権(地)とは段階的に区別すべきこと，などが指摘され，その性格がしだいに明らかとなった。そして現在では，平安時代の名は，土地に対する権利を意味せず，また単一の経営体ではなくて，複数の経営体からなる収取の単位である，という解釈が通説化しつつある。…

※「百姓名」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」