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農業経営 のうぎょうけいえい

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世界大百科事典 第2版の解説

のうぎょうけいえい【農業経営】

農業生産を行う独立した意思決定単位およびその管理運営行動のことをいう。より厳密にいえば,前者は農業経営構造,後者は農業経営管理であり,ふつうに農業経営というときにはこの両者を含んでいる。
[農業経営構造の内容]
 農業経営構造には,原始的な自給自足的農業,小農的家族農業,資本主義的会社農場,社会主義国営農場集団農場,あるいは零細兼業農場やレクリエーション農場といった違い,あるいは集約的な小規模水田農業と粗放な乾燥地農業,大規模土地利用型農業と施設型・加工型農業といった違い等々,歴史的にまた地理的にさまざまな形や性格差がみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

農業経営
のうぎょうけいえい

統一した意思(経営主体・経営者)が、一定の目的をもって土地、労働力、資本などの要素を結合し、農産物の生産・処分を行う継続的な組織体を農業経営という。もちろんそれは、自然条件をはじめ、経済的、社会的な環境条件によって大きな制約を受けるし、販売市場を通しての国内ないし国際的な需給事情による影響がいっそう強まりつつある。
 そしてこの経営は、資本を経営体とし、それに対する報酬としての利潤を追求する企業経営と、家族労働力を中心に土地、資本を経営体として、それらに対する報酬としての所得を追求する家族経営とに大別できる。もっとも農業経営の場合は、世界の大半の国において後者が支配的な形態であり、わが国の小規模経営においてはもちろん、アメリカの大規模経営においてすらそうである。ことにわが国では、農業所得だけで他産業従事者所得と均衡するいわゆる自立経営農家は1割に満たず、大多数が農外所得を得て生活をまかなう兼業農家であることが特徴的である。
 しかし農業経営は、すべてが個人経営として営まれるとは限らず、それらの共同によって組織・運営される共同経営もあるし、生産行程の部分を数戸の、あるいは集落ぐるみの農業生産組織が担当している場合もある。ことに土地の所有関係が複雑で、個別での規模拡大が困難なわが国では、その実現手段として生産組織が重視されつつある。これらの農業経営や生産組織の経営体質の改善・強化をねらった家族経営協定、法人化の推進が1990年代に入って顕著な動きになっている。
 農業経営はまた、その生産対象によりさまざまなタイプに分類することができる。大別して耕種(作物)、畜産、農産加工などの部門に分けられるが、それぞれをさらに細かな作目に分類することができる。たとえば穀作、果樹作、野菜作、さらに細かく稲作、リンゴ作、酪農、養豚等々である。そしてこれら二つ以上の作目をおもな所得源とする経営を複合(多角)経営とよび、一つの作目に専門化した経営を単一(単作)経営とよんでいる。複合と単一にはそれぞれの長短があり、わが国の高度経済成長下では単一化が急速に進んだが、農産物需要の伸びが停滞に転じた1980年代以降、その行きすぎが反省されて、複合経営ないし地域的な複合化が見直されつつある。さらに最近では、個々の農業経営が生産部門に加工部門を加え、かつ、直売活動を取り込むなど、農業経営の垂直的な方向での複合化(多角化)が目につくようになってきている。
 耕地規模が相対的に小さいわが国の個別経営で農業所得を高めようとすれば、必然的に単位面積当りの労働や資本の投下量が多くなり、このような労働集約的あるいは資本集約的な経営が、わが国農業の特色とみられてきた。しかし最近は、労働や資本の効率も重視され、とくに省力化が経営合理化の目玉とさえなったが、経営自立化に向けての主要な方策としては、畜産や施設園芸などの集約的経営の育成にかなりの期待がかけられている。そして経営規模が零細で生産性が低く、国際的競争に立ち遅れている稲、麦、大豆作などの土地利用型経営においては、生産力・国際的競争力の向上を目ざして、借地や集団化による規模拡大の実現が図られている。
 以上に述べたように、農業経営は、私経済として組織・運営されているが、その活動を通してきわめて重要な社会的役割も担っている。国民に安心で安全な良質の食料を効率的、安定的に供給するという社会的役割だけでなく、農業・農村の有形・無形の資源や環境を保全して多面的機能を維持・発揮するという役割が、最近になるほど評価され、重要になってきている。このような観点から、わが国農業・農村の担い手としての農業経営が維持・発展していくことが不可欠であり、国や地方自治体によって手厚い保護を受ける場合も多い。[菊地泰次]
『『大槻正男著作集1 農業経営論』(1977・農林統計協会) ▽磯辺秀俊著『農業経営学』(1984・養賢堂) ▽頼平・阿部亮耳編著『農業経営の革新』(1986・富民協会) ▽金沢夏樹著『農業経営学講義』(1982・養賢堂) ▽頼平著『農業経営学』(『現代農業経済学全集 第14巻』・1991・明文書房) ▽西村博行著『農業経営』(1997・放送大学教育振興会)』

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世界大百科事典内の農業経営の言及

【親子契約】より

…農家における経営移譲と親族間扶養に関する父子契約ないし家族協定。日本の農村では,高度成長中期にあたる1960年代の中ごろから,市町村・府県段階の卓抜したリーダーがいて,しかも多くの農家がその指導に呼応する特定の地域で,農家世帯の中に,世代交代を円滑に行い,家族農業経営に新しい活力を付与しようとする動きがみられる。それは,とくに父(現在の事業主・経営主)と子(後継者)をおもな当事者として,子やその妻などに対する労働報酬の支払,特定の部門の分担,農業資産(農地)の承継および老親扶助,後継者以外の子(他出予定者)への財産分配のような事項の一つないし全部について,合意・契約を結ぶことを内容とする。…

【百姓】より

…近世初期,17世紀前半期においては,高請地を所持し,年貢と夫役とを負担する役負百姓が厳密な意味での百姓であり,これを初期本百姓ともいう。初期本百姓は,検地帳に田畑とともに屋敷を登録され,家族形態は複合大家族(直系親族,半隷属的傍系親族,隷属的非血縁下人などから成る)の形態をとり,大規模農業経営(数町~十数町)を営んでいた。彼らは村落内部の生産,生活,祭祀などの全般にわたって弱小農民に対して優位を保持し,用水,農用林野(肥料,燃料,用材の供給地)を支配し,宮座(みやざ)に列するなどした。…

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