百引郷(読み)もびきごう

日本歴史地名大系 「百引郷」の解説

百引郷
もびきごう

近世、鹿児島藩が置いた外城(のち郷と称する)の一つで、肝属きもつき郡の北部に位置する。北に囎唹そお市成いちなり郷があり、当郷には二ヵ村が属した。現在の輝北町の南西部にあたる。文禄四年(一五九五)六月二九日の豊臣秀吉朱印知行方目録(島津家文書)には大隅のうちとして「もひき」とみえ、地内の一千七五六石余が伊集院忠棟の知行となっている。「薩藩政要録」に当郷内として百引村・平房ひらぼう村の二ヵ村がみえるが、百引村は寛文四年(一六六四)の郡村高辻帳によれば、肝属郡内の大姶良おおあいら南方みなみかた村・百引郷西原にしはら村の二村に相当し、「三州御治世要覧」では大姶良郷ふもと村・平房村となっている。慶長一九年(一六一四)に百引外城が創設され、鹿児島藩直轄領となる。初代地頭は吉田清長とされ(諸郷地頭系図)、地頭仮屋を平房村の加瀬田かせだ城から堂籠どうごもりに移したという(輝北町郷土史)。清長や二代地頭の最上義辰が行った外城衆中の配置転換に伴い、衆中は唐鎌氏など百引外城内から取立てた者もあったが、多くは内之浦うちのうら谷山たにやま(現鹿児島市)福山ふくやま日当山ひなたやま(現隼人町)などから移した(宝永五年「加世田ヶ城衆中付帳」百引郷史料集)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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