企業内において従業員の職場や職務を一時的または恒久的にかえることをいい,略して配転という。また関連会社などへの出向も配転に含めることがある。一時的な配転は応援とも呼ばれる。配転を移動範囲からみると,事業所内配転,事業所間配転,企業間配転などに区別される。日本の雇用管理の一つの特色は,ブルーカラーを含め従業員の配転が頻繁かつ広範囲に行われることである。それは一つには,長期雇用慣行のもとで業務量の変動に伴う労働需要の変動に対処し,またそのための従業員の能力開発を行うために,配転が必要となるからである。配転を目的別に分類すると,(1)業務量変動や経営組織の改廃など業務上必要な労働力再配置のための配転,(2)従業員教育・訓練のための配転,(3)過剰人員の整理を解雇という形をとらずに部門間の労働力再配分によって行う雇用調整策の一つとしての配転,(4)降格的人事や懲戒に伴う配転などがある。このうち(3)は昭和40年代前半ころから日本の雇用調整策の一つとして重要性を増しつつある。また(4)はしばしば労働組合対策として行われ,不当労働行為となることがある。
他方,企業別労働組合は雇用保障策の基本を解雇反対に置いているため,配転に対しては概して協力的である。しかし配転は労働者の労働条件や家族の生活諸状況に重大な影響を及ぼすことも多いため,労働組合も配転計画への参加と規制,配転対象者の賃金その他の労働条件の保障,住宅保障などを要求し,企業もまたその要求に応ずるようになっている。企業はまた配転対象者の人選を慎重に行うなど,可能な限り配転に伴う労使紛争の回避に努めている。しかし近年,配転拒否を理由とする解雇の正当性や配転そのものの効力をめぐって,裁判所に訴えたり,労働委員会に救済を申し立てたりする紛争が増加の傾向にある。判例や命令は一般に使用者の解雇権,人事権の濫用を指摘することが多く,企業は配転実施に際し,上述のような慎重な手続をとるようになりつつある。
執筆者:中村 圭介
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(高橋宏幸 中央大学教授 / 2007年)
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