内之浦(読み)うちのうら

日本歴史地名大系 「内之浦」の解説

内之浦
うちのうら

現町域のうち岸良きしらを除く北半の内之浦湾沿岸地域にあたるとみられる。建仁三年(一二〇三)一一月一〇日付および同四年一月一八日付の二通の島津庄政所下文(肝付文書)では、島津庄前地頭島津忠久が押領した各所の弁済使得分米の京への運上を義広が行うよう命ぜられており、その一ヵ所として「肝付郡内之村」および「肝付郡内内浦」がみえる。文永一一年(一二七四)六月一八日肝付阿仏(兼員)は五男兼弘に東方ひがしかた(河東、現高山町)弁済使職を、次男兼基に岸良村弁済使職を譲与した。その際内之浦は岸良村の東限、河東かわひがしの南限にしていた(「阿仏譲状」旧記雑録、「肝付阿仏譲状」喜入肝付家文書)。このとき内之浦がだれに譲与されたかは不詳だが、肝付氏惣領に相伝されたのであろうか。鎌倉時代後期には肝付きもつき郡弁済使と地頭代の間に所職押領をめぐる相論が発生。永仁三年(一二九五)二月二八日には弁済使肝付兼石へ九七町九段二丈の田地と在家・狩倉が打渡され、このなかに西方にしかた(現高山町)・岸良村・東方村と並んで内浦村が含まれていた(「大隅国守護代実光・篤秀連署打渡状」肝付文書)。元亨三年(一三二三)四月一七日の大隅国守護代盛秀・敦胤連署打渡状(同文書)では、内浦村四六町二段四〇を含む一七〇町が肝付郡弁済使兼尚へ打渡されている。南北朝期も肝付氏の支配下にあったとみられる。貞和三年(一三四七)頃には四国・中国の海賊三〇余艘が飫肥南おびなん目井めい(現宮崎県南郷町)から内之浦の王崎にかけて活動しており、その退治のための参陣を島津氏が要請している(同年五月二七日「島津道鑑軍勢催促状」旧記雑録など)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「内之浦」の意味・わかりやすい解説

内之浦
うちのうら

鹿児島県南東部、肝属郡(きもつきぐん)にあった旧町名(内之浦町(ちょう))。現在は肝付(きもつき)町の南部を占める。旧内之浦町は1932年(昭和7)町制施行。2005年(平成17)高山(こうやま)町と合併し肝付町となった。旧町域は大隅半島(おおすみはんとう)の東端に位置し、太平洋に面し暖かく、ソテツビロウなどの亜熱帯樹が自生する。大部分肝属山地。中世、有力豪族の肝属氏領。戦国時代末期、島津氏領となり、近世には麓(ふもと)(外城(とじょう))が置かれた。広瀬川河口は帆船の寄港地としてにぎわったが、明治に入り交通体系の変化で衰微した。1962年、東京大学宇宙空間観測所(現、宇宙航空研究開発機構内之浦宇宙空間観測所)が設置され、ロケット打上げ基地として有名になった。農業と漁業との兼業者が多く、農業ではサヤエンドウの生産が著しく伸び、基幹作物となっている。漁業はイワシ、アジなどの沿岸漁業が中心である。

[平岡昭利]

『小大塚平男編『内之浦町史』(1966・内之浦町教育委員会)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内之浦」の意味・わかりやすい解説

内之浦
うちのうら

鹿児島県南東部,肝付町南東部を占める旧町域。大隅半島東部に位置し,内之浦湾に面する。 1932年町制。 2005年高山町と合体して肝付町となった。古くは肝付氏の統治下にあったが,天正2 (1574) 年以後島津氏の領地となった。内之浦湾を中心に行なわれるブリ,アジ,サバなどの漁業が主産業。西部の肝属山地では林業が行なわれるほかタバコ,ポンカン,サヤエンドウを栽培。 1963年東京大学の鹿児島宇宙空間観測所 (→内之浦宇宙空間観測所 ) のロケット発射場が長坪台地に開設されてから,内之浦の名は一躍内外に有名となり,観光地化も進んだ。内之浦湾先端の火崎はソテツ,ヘゴなどの自生地で,それぞれ国の特別天然記念物,天然記念物に指定されている。南西端の南大隅町,錦江町にまたがる稲尾岳は山全体が国の天然記念物に指定され自然環境保全地域となっている。火崎から南部の海岸線のほとんどは大隅南部県立自然公園に属する。

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百科事典マイペディア 「内之浦」の意味・わかりやすい解説

内之浦[町]【うちのうら】

鹿児島県大隅半島東部,肝属(きもつき)郡の旧町。大部分が国有林の山地で,内之浦湾に面し主集落の漁港がある。ポンカン,サヤエンドウの栽培,ブリ漁などを営む。1962年設置の東大の宇宙空間観測所は1970年2月日本最初の人工衛星〈おおすみ〉を打ち上げた。火崎はソテツ自生地(特別天然記念物)。2005年7月肝属郡高山町と合併し町制,肝付町となる。179.36km2。4863人(2003)。

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改訂新版 世界大百科事典 「内之浦」の意味・わかりやすい解説

内之浦 (うちのうら)

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