皮膚電気抵抗(読み)ひふでんきていこう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

皮膚電気抵抗
ひふでんきていこう

皮膚に電流を通じたとき、体表部位に生ずる電気抵抗をいう。皮膚に弱い電流を流すと、電流は、発汗しているときにはおもに汗腺(かんせん)を通り、発汗していないときは毛嚢(もうのう)(毛包)腔(くう)を通るとされる。この毛嚢と交感神経系との関係に焦点を当ててみると、発汗していないときは皮膚の電気抵抗は減弱するが、交感神経の興奮が高まると立毛筋が収縮し、皮脂の分泌が促進され、電流の流れがよくなる。人体の皮膚上には、こうした電流の流れやすい点状部位があり、その大きさはほぼ母指頭大である。また、この点状部位を線状に結ぶと、電流の流れやすい絡状のパターンが描ける。京都大学生理学教室では、この絡状パターンを良導絡、点状部位を良導点と名づけ、それぞれが内臓機能と密接に関係するとした。その後、中谷義雄(よしお)は、良導絡・良導点は古来の「臓腑(ぞうふ)と経絡経穴現象」と深くかかわると述べ、「良導絡治療」という新しい鍼灸(しんきゅう)治療を提唱した。この良導絡・良導点の探索用器具をノイロメーターとよぶ。
 これに対して、金沢大学病理学教室(石川太刀雄(たちお)教授)は、「皮膚‐血管反射」の理論を基に、皮膚の電気抵抗の減弱点を次のように説明した。すなわち、「脊髄(せきずい)分節‐皮膚節」を介して、内臓の異常が皮膚の細小動脈の血管調節機構に投影する結果、血管収縮・皮膚の栄養障害―滲出(しんしゅつ)性変化(水腫(すいしゅ))―半壊死(えし)が出現し、減弱点となるというのである。石川は、減弱点を皮電点とよび、その大きさは0.5ミリ程度とした。そして、皮電点は経絡経穴現象とよく似た部位に現れやすいが、漢方古典の説く理論とは一致しないという。この皮電点探索のための計器を皮電計とよび、臨床的に広く活用されている。[芹澤勝助]

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