日本大百科全書(ニッポニカ) 「皮電計」の意味・わかりやすい解説
皮電計
ひでんけい
dermometer
皮電点(皮膚上に直径0.5ミリ程度に現れる電気抵抗のきわめて弱い点状部位)を探索するための計器で、金沢大学病理学教室(石川太刀雄(たちお)教授)の創案による。構造の大要は、テスター、トランジスタ5石、増幅器、メーター指示回路、9ボルト乾電池3個などからなる小型計器である。探索の際は、メーターの陽極導子を患者の手に握らせ、陰極ローラー導子を皮膚上に擦過していく。皮電点に当たると、電気抵抗が正常部位の100分の1ないし1000分の1に減弱し、特殊な音をたてる。石川によれば、内臓の異常によって皮電点は出現するという。すなわち、内臓に異常があると、「脊髄(せきずい)分節‐皮膚節」を介して、その異常は皮膚の細小動脈の血管調節機構に投影され、その結果、まず血管収縮、皮膚の栄養障害がおき、ついで滲出(しんしゅつ)性変化(水腫(すいしゅ))をきたし、半壊死(えし)に陥るという。この部位が皮電点に相当するというのである。
[芹澤勝助]