日本歴史地名大系 「益田家什書」の解説
益田家什書
ますだけじゆうしよ
一一二軸一千七三通
写本 東京大学史料編纂所・京都大学文学部国史研究室
解説 中世から近世にかけて何回かにわたって編纂・増補され、寛政五年に筆写された益田家伝来の古文書(益田精祥氏所蔵)を明治三一年に謄写したもの。二四冊の古文書集と上・下二冊の目録からなる。益田家文書のうちの中世文書と近世文書の一部を含む。なお益田家文書の原本=成巻本一千二五〇点は東京大学史料編纂所所蔵。約一万点に及ぶその他の近世・近代文書は山口県須佐町の益田家所蔵。その全容は山口県教育委員会が編集した「益田家歴史資料目録」によって知られる。
益田家文書(成巻本)は一一七軸・番外八軸、計一二五軸(うち二軸欠)に成巻されているが、益田家什書には番外八軸が筆写されていない一方、益田家文書で欠落となっている二軸が筆写されるなど、両者の間に若干の異動が認められる。内容的には鎌倉期の文書、室町期の足利将軍関係の文書、綸旨・口宣案の類、山名氏・細川氏・畠山氏といった有力守護家の文書、室町幕府奉行人関係の文書、大内氏関係の文書、毛利元就以下の毛利氏関係の文書など、それなりのまとまりをもったかたちで配列されている。なお益田家什書としてはほかに明治三〇年に筆写された影写本(東京大学史料編纂所蔵)があり、七二軸までを集録。このほか「萩藩閥閲録」や「萩藩譜録」にも一部が収められている。
活字本 「萩藩閥閲録」第一巻に二一四点を集録。益田市教育委員会編「益田家文書の語る中世の益田」なども一部を活字化している。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報