精選版 日本国語大辞典 「目覚」の意味・読み・例文・類語
め‐ざ・める【目覚】
〘自マ下一〙 めざ・む 〘自マ下二〙 (古くは「めさむ(めさめる)」)
① 眠りから目がさめる。起きる。
※虎明本狂言・悪太郎(室町末‐近世初)「目さめてみたれは、刀わきざしも、なぎなたもなふて」
② 眠気の去るような思いがする。多く連体修飾に用いる。
(イ) 新鮮な感じがする。真新しさに驚く。
※徒然草(1331頃)一五「いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ、めさむる心ちすれ」
(ロ) 驚きあきれる。また、興ざめする。
(イ) より高い段階、よりよい境遇を目ざすように成長する。
(ロ) 心の迷いが去って、本来の姿に立ち返る。自覚して罪や非を改める。目がさめる。
[補注]古くは「目+覚(さ)む」と二語であったが、二語の間に助詞の入らない例は便宜上この項に収めた。
め‐ざまし・い【目覚】
〘形口〙 めざまし 〘形シク〙 (古くは「めさまし」)
① 物事が心外であり目もさめる思いがする。驚きあきれたり、不快に思ったりするほどである。目ざわりである。気にくわぬ。
※平中(965頃)二四「何の身の高きにもあらず。親、かくにくげに言ふ。めさまし」
② 物事がすばらしく目もさめるほどである。驚くほどすばらしいさま、立派であるさま、など。また一般に、評価すべき状態がきわだっている。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「めさましき女の宿世かなと、おのがじしはしりうごちけり」
※日葡辞書(1603‐04)「Mesamaxij(メサマシイ)、または、Mesamaxij(メサマシイ) コト〈訳〉驚いて目をさますような新奇なこと」
[補注](1)「めざむ(めざめる)」の形容詞化した語。目が覚めるほど甚だしいさまを表わす。
(2)「日葡辞書」には挙例のほか、「Mezamaxij(メザマシイ)」の見出しも見られ、室町末期には清濁両用だったと思われる。
(2)「日葡辞書」には挙例のほか、「Mezamaxij(メザマシイ)」の見出しも見られ、室町末期には清濁両用だったと思われる。
めざまし‐が・る
〘自ラ四〙
めざまし‐げ
〘形動〙
めざまし‐さ
〘名〙
め‐ざまし【目覚】
〘名〙
① (古くは「めさまし」) 目をさますこと。また、目をさまさせるもの。ねむけざましとなるもの。
※宇津保(970‐999頃)あて宮「これは夜居の人々のめさましに給へとてなん」
※源平盛衰記(14C前)二二「生(なま)殺しにして這ひありかせよ、其れこそ軍の目醒(メサマシ)なれ」
※雑俳・柳多留‐一〇八(1829)「目覚しに屁玉をねだる河童の子」
③ 「めざましどけい(目覚時計)」の略。
※風俗画報‐一二五号(1896)人事門「置時計にコロノメートル、フランスマクラ、眼覚し、押打等の種類あり」
め‐ざめ【目覚】
〘名〙
① 眠りから目がさめること。目をさますこと。また、その時。ねざめ。
※当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉四「年老ひたるまま、目醒(メザメ)も早く」
② いままでひそんでいた本能や知覚が働き始めること。
※機械(1930)〈横光利一〉「私の唯心的な眼醒めの第一歩となって」
③ 心の迷いが消えたり理解が及んだりして本来の姿に立ち返ること。開眼。自覚。
※モダンガアルの研究(1927)〈片岡鉄兵〉モダン・ガールの研究「婦人の目醒め、婦人の自覚! これは自然主義文学の考へ方に促された大なる婦人の進歩であったと云へよう」
め‐ざま・す【目覚】
〘他サ五(四)〙
① 目ざめるようにする。
※欧米印象記(1910)〈中村春雨〉加州雑記「世界を醒(メザ)ます東雲(しののめ)のコーラスが一斉に唱へ出されてゐる」
② 理性、感情などの心のはたらきを呼び起こす。
め‐おぼえ【目覚】
〘名〙 見忘れないためのしるし。目じるし。また、見て覚えていること。見おぼえ。
※浄瑠璃・七小町(1727)二「目覚ある慥な八重垣、皇子を魅すか奇怪者と」
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