直営地(読み)ちょくえいち(その他表記)demesne

翻訳|demesne

山川 世界史小辞典 改訂新版 「直営地」の解説

直営地(ちょくえいち)
demesne[英],mansus indominicatus[ラテン]

メロヴィング朝時代末期からカロリング朝時代初期にかけて,西ヨーロッパで形成された荘園制において,不自由人を用いて領主により直接経営された土地の呼称。領主はこの直営地に従属する屋敷地に家持ちの不自由人を住まわせ,直営地の耕作にあたらせた。直営地は,荘司(ウィリクス)と呼ばれる領主役人が経営を管理した。カロリング朝時代には,世俗の領主のほか,多く寄進を受けた修道院が大所領を形成し,大規模な直営地を中心に所領経営を行った。しかしカロリング朝時代末期以降,こうした領主直営地型の荘園は解体し,それに代わって地代荘園制がしだいに普及し,自由農民の土地所有と並んで土地貸与の新しい諸形態が成立していった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「直営地」の解説

直営地
ちょくえいち
demesne

中世ヨーロッパの荘園において,領主が直接に経営した土地
家内奴隷のほか,領主より保有地を与えられた農奴がその代償として耕作にあたった。収穫は全部領主のものとされたため,農奴の勤労意欲を減退させ,生産力は低かった。のち,その多くは農奴に分割されて,純粋荘園と呼ばれる形態をうみ出した。

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