日本大百科全書(ニッポニカ) 「直火焼き」の意味・わかりやすい解説
直火焼き
じかびやき
熱源から直接材料に加熱するのを直火焼きといい、鉄板、陶板、フライパンなどを用いて間接的に材料を焼く方法と異なる。干物類、塩魚、エビ、イカなどは直火焼きに適し、照(てり)焼き、蒲(かば)焼きなどはこの方法でないと美味が出ない。エビの鬼殻(おにがら)焼きは、炭火で殻にも適切に加熱をするならば、殻ごと食べられるものであるが、いまは熱源が変わり好みも変化したので殻を捨てている。西洋料理のグリルは、網を用いての直火焼きである。田楽(でんがく)は日本料理独特のものであるが、これも豆腐にみそをつけて直火焼きにする。その応用料理としては、魚にみそをつけて焼く魚田(ぎょでん)がある。八幡巻(やわたまき)は京都府八幡市特産のゴボウをゆでて下味をつけ、それにアナゴかウナギを巻き付けて直火焼きにする。「あぶってかも」というのは福岡市の郷土料理で、客前でスズメダイの直火焼きを食べさせるものである。
[多田鉄之助]