本来は門下につらなる人の意味で,門人,門葉と同義であるが,日本では古くは本寺配下の末寺寺院,僧徒をさし,さらに真宗(一向宗)が発展してくると,この宗派の在俗信者をさす言葉として使われることが多くなった。そのため真宗は門徒宗ともいわれている。これは,真宗では在俗のままでも出家者と同じく弥陀および宗祖親鸞の門葉=門徒として平等であるという意識が強く,これに基づいて在俗者の宗教活動が他宗以上に活発であったことによる。その行動は,神祇を崇めず,日柄・方角などの俗信を否定し,死者追善儀礼を簡略化するなど伝統的習俗を無視する場合が多かった。〈門徒もの知らず〉という言葉は他からの嘲りである。
執筆者:児玉 識
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一門の徒,また師の教えをうける門弟。はじめは慈覚門徒・智証門徒のように師僧の流れをくむ寺院や僧徒をさした。のち浄土真宗が発展すると,その在家信徒と集団をさすようになる。下野の高田門徒,常陸の鹿島門徒,下総の横曾根(よこそね)門徒,越前の三門徒などがその例。真宗は俗称として門徒宗ともよばれ,その信徒をあざける「門徒物知らず」という言葉もうまれた。
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…浄土真宗(真宗ともいう)本願寺派の坊主や農民,商工業者,武士などの門徒が主導し,あるいは門徒が他の勢力と結んだり,本願寺法主に動員されたりしておこした武装蜂起,闘争の総称。1466年(文正1)から1582年(天正10)に至る約120年間にわたって,近畿,北陸,東海などの諸地域で起き,室町末~戦国時代の政治史の中で,重要な役割を果たした。…
※「門徒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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