門徒(読み)モント

デジタル大辞泉 「門徒」の意味・読み・例文・類語

もん‐と【門徒】

宗門を同じくする寺院僧侶
宗門を同じくする信徒浄土真宗信者をいう。
門徒宗」の略。
[類語]信者信徒宗徒教徒異教徒檀家檀徒檀那

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精選版 日本国語大辞典 「門徒」の意味・読み・例文・類語

もん‐と【門徒】

〘名〙
① 門下につらなる人。門人。
※性霊集‐二(835頃)大唐青龍寺故三朝国師碑「常告門徒曰。〈略〉我師之勧誘、妙趣在茲也」
※文机談(1283頃)一「孝時はきりゃうもいみじく稽古もいたれるによりて、当世の人おほくこの流をくめり。公家武家、かれが門徒なり」 〔後漢書‐鄭玄伝〕
② 宗門を同じくする寺の信者。檀徒。あるいは、その宗門の門跡の下に属する寺院。また、一宗の中で分派をみた門派とそれに属する徒輩をもいう。
※観智院本三宝絵(984)下「その門徒此寺につたはりすみて此会をとりおこなふ」 〔東京夢華録‐巻一〇〕
③ 特に、浄土真宗の信徒。また、浄土真宗をさしてもいう。門徒宗。
※蓮如上人遺徳記(1524)「当時に至て門徒も繁昌し」
浮世草子本朝二十不孝(1686)三「浄土は二十八日を祝ふに門徒(モント)精進日といへり」

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改訂新版 世界大百科事典 「門徒」の意味・わかりやすい解説

門徒 (もんと)

本来は門下につらなる人の意味で,門人,門葉と同義であるが,日本では古くは本寺配下の末寺寺院,僧徒をさし,さらに真宗(一向宗)が発展してくると,この宗派の在俗信者をさす言葉として使われることが多くなった。そのため真宗は門徒宗ともいわれている。これは,真宗では在俗のままでも出家者と同じく弥陀および宗祖親鸞の門葉=門徒として平等であるという意識が強く,これに基づいて在俗者の宗教活動が他宗以上に活発であったことによる。その行動は,神祇を崇めず,日柄・方角などの俗信を否定し,死者追善儀礼を簡略化するなど伝統的習俗を無視する場合が多かった。〈門徒もの知らず〉という言葉は他からの嘲りである。
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普及版 字通 「門徒」の読み・字形・画数・意味

【門徒】もんと

門下。〔後漢書、玄伝〕(馬)融の門徒四百餘人、~玄、門下に在り、三年見(まみ)ゆるを得ず。~融~乃ち樓上に召見す。玄、因りて從ひて疑義を質(ただ)し、問ひ畢(をは)りて辭し歸る。融喟然(きぜん)として門人に謂ひて曰く、生今去る、吾が東すと。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「門徒」の意味・わかりやすい解説

門徒
もんと

仏教用語。『梵摩渝経(ぼんまゆぎょう)』その他にみられ、古代からあることば。初めは、門下、門人、門葉を意味し、末寺寺院の僧侶(そうりょ)をさす。その後、俗を含んだ同信者の集団をも門徒といい、親鸞(しんらん)の門弟の場合、地名を冠して、高田門徒、鹿島(かしま)門徒などと称した。さらに下って浄土真宗では、もっぱら在俗の信者を門徒といった。檀家(だんか)・檀徒(だんと)を門徒と通称し、それを基盤に成り立つため、真宗を俗に門徒宗ともよんだ。

北西 弘]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「門徒」の解説

門徒
もんと

一門の徒,また師の教えをうける門弟。はじめは慈覚門徒・智証門徒のように師僧の流れをくむ寺院や僧徒をさした。のち浄土真宗が発展すると,その在家信徒と集団をさすようになる。下野の高田門徒,常陸の鹿島門徒,下総の横曾根(よこそね)門徒,越前の三門徒などがその例。真宗は俗称として門徒宗ともよばれ,その信徒をあざける「門徒物知らず」という言葉もうまれた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「門徒」の解説

門徒
もんと

仏教界で同門の徒
中世以降は特に関東地方の初期浄土真宗において,高田門徒・鹿島門徒などと呼んだ。他の宗派が一門の僧侶を門徒と呼ぶのに対し,真宗では在家の信者を門徒と呼んでおり,真宗のことを門徒宗とも呼ぶ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「門徒」の意味・わかりやすい解説

門徒
もんと

本来はある宗門またはある寺院の檀信徒をいうが,普通門徒という場合には,真宗の信者をさし,同宗は門徒宗とも呼ばれる。

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世界大百科事典(旧版)内の門徒の言及

【一向一揆】より

…浄土真宗(真宗ともいう)本願寺派の坊主や農民,商工業者,武士などの門徒が主導し,あるいは門徒が他の勢力と結んだり,本願寺法主に動員されたりしておこした武装蜂起,闘争の総称。1466年(文正1)から1582年(天正10)に至る約120年間にわたって,近畿,北陸,東海などの諸地域で起き,室町末~戦国時代の政治史の中で,重要な役割を果たした。…

※「門徒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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