改訂新版 世界大百科事典 「石山記」の意味・わかりやすい解説 石山記 (いしやまき) 説経節の曲名。延宝(1673-81)ころの作で天満(てんま)八太夫の正本である。六段構成で浄瑠璃形式ではあるが,〈蓮花上人の由来をくはしく尋ね奉るに〉で始まる本地物(ほんじもの)のなごりがある。石山寺の十一面観音の子と生まれた蓮花上人の一代記で,弥陀・観音一体観による念仏の奇瑞(きずい)を強調している。世俗的な場面を盛り込み,とくに上人の幼児期の体験として,飢餓に苦しむ家族の姿を克明に語るところは説経の特色がよくでている。執筆者:岩崎 武夫 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by