石走る(読み)イワバシル

デジタル大辞泉 「石走る」の意味・読み・例文・類語

いわ‐ばしる【石走る】[枕詞]

[枕]
1 岩で水がとびちる意から「垂水たるみ」にかかる。
「―垂水の上のさわらびの」〈万・一四一八〉
2 「近江あふみ」「神奈備山かんなびやま」などにかかる。
「―近江の国の楽浪ささなみの」〈万・二九〉

いわ‐ばし・る〔いは‐〕【▽石走る】

[動ラ四]岩の上や間を水が激しく流れる。水が岩に当たってしぶきをあげる。
「―・りたぎち流るる泊瀬川はつせがは絶ゆることなくまたも来て見む」〈万・九九一〉

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精選版 日本国語大辞典 「石走る」の意味・読み・例文・類語

いわ‐ばし・るいは‥【石走】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 水の流れが、激しく岩に当たってしぶきを上げる。岩の上を激しい勢いで水が流れると解する説もある。
    1. [初出の実例]「石走(いはばしり)激(たぎ)ち流るる初瀬川絶ゆることなくまたも来て見む」(出典:万葉集(8C後)六・九九一)
  2. [ 2 ] 枕
    1. ① 水がはげしく流れる意の動詞「たぎつ」、またその名詞形「たき・たぎ(滝)」にかかる。
      1. [初出の実例]「伊波婆之流(イハバシル)滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ」(出典:万葉集(8C後)一五・三六一七)
    2. ② 垂直に落下する滝の意の「たるみ(垂水)」にかかる。
      1. [初出の実例]「命を幸(さき)くよけむと石流(いはばしる)垂水(たるみ)の水を掬(むす)びて飲みつ」(出典:万葉集(8C後)七・一一四二)
    3. ③ 地名「近江(おうみ)」に掛かる。
      1. [初出の実例]「石走(いはばしる) 近江の国の 楽浪(さざなみ)の 大津の宮に」(出典:万葉集(8C後)一・二九)

石走るの語誌

「万葉」に「霰(あられ)たばしる」「鮎子(あゆこ)さばしる」などと見え、「はしる」は勢い良く四方に散るさまも表わす。「岩ばしる」も岩の上を水が飛沫をあげて砕け散ったり、落下したりするのをいったものであろう。そこからたぎるように沸き立つという意の動詞「たぎ」や落下する「たるみ(滝)」に掛かる枕詞にも用いられるようになった。


いし‐ばし・る【石走】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 石の上を水がはげしく流れる。岩走る。
    1. [初出の実例]「いしばしりをられぬみづのたきつせになつなき浪のはなぞちりくる」(出典:壬二集(1237‐45))

石走るの補助注記

「古今集」以後の用語。「万葉集」の「石走」「石激」「石流」などの「いはばしる」を、「いしばしる」と読んだことによって生じた語か。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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