化学辞典 第2版 「硫化白金」の解説
硫化白金
リュウカハッキン
platinum sulfide
【Ⅰ】硫化白金(Ⅱ)(platinum(Ⅱ) sulfide):PtS(227.15).一硫化白金(platinum monosulfide)ともいう.天然にクーペライト(cooperite)として産出する.テトラクロロ白金(Ⅱ)酸塩水溶液に硫化水素を通じるか,白金海綿と硫黄を真空にした封管中で700 ℃ に加熱する,または塩化白金(Ⅱ)を硫化水素気流中で630 ℃ に加熱すると得られる.灰黒色の正方晶系.密度9.5 g cm-3.空気中,室温では安定であるが,強熱すると白金となる.無機酸,王水,アルカリに不溶.反磁性の半導体である.[CAS 12038-20-9]【Ⅱ】硫化白金(Ⅳ)(platinum(Ⅳ) sulfide):PtS2(259.21).二硫化白金(platinum disulfide)ともいう.白金海綿と硫黄の計算量の混合物を,真空にした封管中で650 ℃ 以上に加熱するか,塩化白金(Ⅳ)を硫化水素気流中で加熱する,またはヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸塩水溶液を加熱し,硫化水素を通じるなどの方法により得られる.黒色の六方晶系.密度7.66 g cm-3.加熱すると一硫化物を経て白金となる.無機酸にはきわめて安定である.濃硝酸,王水と熱すると徐々に溶解する.硫化アルカリに不溶.反磁性の半導体である.[CAS 12038-21-0]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報