日本大百科全書(ニッポニカ) 「碁石遊び」の意味・わかりやすい解説
碁石遊び
ごいしあそび
碁(囲碁)以外に碁石や碁盤を用いる遊びは昔からいろいろあるが、だいたい3種類に大別することができる。
一つは囲碁の手法を応用した遊びで、これは2人で行い一方が続けて2手打つ。たとえば、 (1)は俗に「牢(ろう)破り」といわれるもので、黒の囲中にある白が (2)のような方法によって外部へ脱出するのだが、碁を知らなければできない。
碁を知らなくてもできる遊びのなかで有名なものに「拾いもの」「総取り」「継子立て」などがある。「拾いもの」とは (1)のようにいろいろな形に石を並べ、1人ずつ碁盤の線に沿って、後戻りせずに石を (2)のように取っていく。あいた点は飛び越えてよい。「総取り」は碁盤中に白と黒を種々な形に並べ、順番に斜めに白なら白、黒なら黒を取っていき、たくさん取った者が勝ちである。「継子立て」は白石と黒石を適当に混ぜて円形に並べ、何番目、何番目と数えて、白なら白、黒なら黒だけを残す。また「三つ押し」「四つ押し」などといわれる遊びもある。「三つ押し」は (1)のように石を3個ずつ置き、交互に石を縦の線に進めて、動けなくなったほうが負け。一度にいくら進めてもよいが後戻りはできない。たとえば (2)は黒の番で「い」の点に進めると、白は動かす石がなく負けである。碁盤と碁石を用いて「挟み将棋」などもできる。
いま一つは、碁石を盤の隅からはじき合う遊びで、弾棋(だんき)といわれるものがこれに類するのではないかと推察される。
以上は代表的な遊びの例を示したにすぎず、このほかにも実際には碁盤と碁石を使用していろいろな形の遊びがなされていたと考えられる。
[河野直達]