中国,河北省南部の武安県洺河流域に分布する新石器時代早期の文化。標識となった磁山遺跡は県城の南西20kmにあり,1976-77,78年と2度の調査が行われ,灰坑と上下2層の文化層を出土した。土器は夾砂・泥質の紅陶で,盂,それをのせる支脚,三足鉢,深腹缶,双耳壺,丸底鉢などがある。石器には磨製・打製の両方があり,牛舌状鏟,石斧,石鑿,石庖丁,石鎌などがある。製粉用の牛舌状石皿は四足をもつ精品で棒状すり石を伴う。長方形灰坑は食糧貯蔵庫で,その多くから多量の粟を出土した。また多数の動物骨が出土しており,イヌ,ブタ,そしておそらくニワトリが飼育され,シカ,イノシシなどが捕獲されたことがわかる。炭素14法では約7300年前という値がでている。南接する裴李崗(はいりこう)文化と共通する面が多いが,盂およびその支脚を有し,鋸歯石鎌がなく,打製石器の多い点が異なっている。
執筆者:下条 信行
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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