日本大百科全書(ニッポニカ) 「社会生理学」の意味・わかりやすい解説
社会生理学
しゃかいせいりがく
physiologie sociale フランス語
社会の外的な形態や構造を研究する社会形態学に対して、社会生活そのものを機能面から考察する社会学の一部門。フランスの社会学者デュルケームによってこのようによばれた。社会を生物有機体に模するところから生まれた用語法といえよう。デュルケームによれば、これは、社会的行為、慣行、およびそれに対応する集合的な観念、感情などを研究する部門であり、広く道徳社会学、宗教社会学、法社会学、言語社会学などを包括するものである。なお、社会生理学の用語はこれに先だってフランスの思想家サン・シモンにもみられ、社会を一個の有機体とみなし、それを研究対象とする実証科学がこのようによばれていた。その内容は明瞭(めいりょう)とはいえないが、のちにコントによって体系づけられる社会学の萌芽(ほうが)形態とみることもできる。
[宮島 喬]
『新堀通也著『デュルケーム研究』(1966・文化評論出版)』