神争い(読み)カミアラソイ

デジタル大辞泉 「神争い」の意味・読み・例文・類語

かみ‐あらそい〔‐あらそひ〕【神争い】

日本伝説で、富士山筑波つくば日光権現赤城あかぎ明神など、2柱の神が争う形式のもの。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「神争い」の意味・わかりやすい解説

神争い (かみあらそい)

二柱の神の間に起こった争いを説く話。日光山赤城山の神が,領地をめぐって戦った話は著名である。ほかにも山と山とが,高さや美しさを競うものなどがある。この種の話は,朝夕これらの山々を,実際に仰ぎ見て暮らす人々によって生み出され,かつ,伝承されてきたのであろう。かつて人々は,それぞれの土地固有の氏神を崇拝していたが,交通が開けるに従い,他郷の偉大な神の存在を知るようになる。それは人々に,驚きと動揺をもたらしたものと思われる。神争いの説話は,こうした人々の動揺,つまり,信仰圏どうしの争いによって生じたと考えられる。しかし,神の不仲の理由はしだいに,史実やまつられる人物に求められるようになる。たとえば,蘇我入鹿をまつる山に,藤原鎌足を連想させる鎌を持って登るとたたりがある,とするのはこの例である。
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