筑波山(読み)つくばさん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

筑波山
つくばさん

茨城県中部,八溝山地南端にある山。山頂は男体 (870m) ,女体 (877m) の2峰に分れる。山体は古生層を貫く花崗岩斑糲岩から成り,植物の種類も多く樹木のみで二百数十種に及ぶ。古くから西富士山とともに関東名山として信仰があつく,また歌垣の行われたところとして知られる。南中腹には筑波山神社とその門前町がある。男体・女体山頂にそれぞれ大神が祀られている。山頂付近までケーブルカーが通じ,男体に気象観測所,女体に無線中継所がある。 1965年に中腹のつつじヶ丘まで有料自動車道路が開通し,女体山頂とロープウェーで結ばれた。水郷筑波国定公園に属する。

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百科事典マイペディアの解説

筑波山【つくばさん】

茨城県中西部,関東平野に孤立してそびえる八溝山地南端の山。標高877m。古生層を貫く花コウ岩や斑レイ岩からなり,山頂は男体山(871m),女体山(最高点)の2峰に分かれる。南中腹のつくば市筑波に筑波山神社がある。《常陸国風土記》にみえ,古来関東の名山として信仰が厚く,また歌垣の行われたところとして知られる。山頂部には無線中継所や,筑波大学の筑波山気象観測ステーションがある。水郷筑波国定公園に含まれ,筑波から山頂へケーブルカーが通じる。南麓の丘陵地帯に面積2860haの筑波研究学園都市がある。
→関連項目牛堀[町]修験道双耳峰千代田[町]つくば[市]日本百名山真壁[町]八溝山地

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世界大百科事典 第2版の解説

つくばさん【筑波山】

関東平野の東辺,茨城県のほぼ中央部,筑波山塊南端にある山。標高876m。平野からはそびえてみえ,関東の名山として知られる。付近は花コウ岩を主体とした深成岩類,古生層から変成した変成岩類,古生層,第四紀層が分布している。山体上部は男体(なんたい)山(870m),女体(によたい)山(876m)の2峰に分かれ,斑レイ岩によって構成されている。この斑レイ岩は,花コウ岩に取り込まれた捕獲岩で,岩質が固いため残丘状に山頂にとり残されたというと,花コウ岩を貫入する岩体であるという説がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

筑波山
つくばさん

茨城県西部にある山。主峰女体山(にょたいさん)(877メートル)とその西の男体山(なんたいさん)(870メートル)の2峰よりなる。八溝(やみぞ)山地南端をなす筑波山塊の西側山列にあり、関東平野に突き出た優美な山容をもつ。女体山の東と西を走る断層のうち西側の断層が両峰の間に御幸原(みゆきがはら)の小平地と男女川(みなのがわ)の渓流をつくる。山頂部は角閃斑糲岩(かくせんはんれいがん)、中腹部以下は筑波型花崗(かこう)岩よりなり、山腹は山体が崩れた土石が厚く堆積(たいせき)している。筑波山の成り立ちは、花崗岩に閉じ込められた斑糲岩が侵食に抵抗して残った、いわゆる残丘であるといわれる。山頂は風が強く、夏は涼しく冬は比較的暖かい。とくに中腹は冬季に気温の逆転現象がおこり温暖である。森林は古くから筑波山神社により保護されてきた。山麓(さんろく)はアカマツ、中腹はモミ、山頂はブナを代表とした林相で覆われ、暖帯林から温帯林までが明瞭(めいりょう)である。ブナ林にはアカガシ、シキミが混生し、林床はスズタケなどのササが多い。「四六(しろく)のガマ」で有名なニホンヒキガエルは近年減少している。イノシシ、タヌキなど日本在来の動物も多い。渓流にはハコネサンショウウオ、ムカシトンボがみられ、ブナ林にはエゾハルゼミ、エゾゼミ、山麓にはヒメハルゼミの発生地もある。森林は神社の神域が多く、山麓のアカマツ利用のほかは林業は振るわない。豊富な筑波型花崗岩は灯籠(とうろう)、碑石、墓石、建築用として北側の桜川(さくらがわ)市真壁(まかべ)町地区に石材業を発達させ、近年は砕石業も増加した。西側山麓では植木鉢、火鉢などをつくる紫尾焼(しいおやき)の産地もある。気温の逆転現象を利用したミカンの栽培地は観光果樹園となった。筑波山は古くから嬥歌(かがい)で知られた信仰と遊楽の山である。伊弉諾尊(いざなぎのみこと)(筑波男大神(おのおおかみ))・伊弉冉尊(いざなみのみこと)(筑波女大神(めのおおかみ))を祀(まつ)る筑波山神社の信仰と、登りやすさが、人々を集めた。筑波鉄道(1918。1987年廃止)、ケーブルカー(1925)、登山自動車道などの開通以来、東京近郊の行楽地となり、さらに水郷筑波国定公園(すいごうつくばこくていこうえん)に指定されて、スカイライン、ロープウェー、稜線(りょうせん)林道など道路や観光施設が整った。近年は北東側を裏筑波として新しく開発している。男体山中腹には東京大学地震研究所などの学術的施設、女体山付近には官公署・民間の電波中継施設が多数設置されている。

[櫻井明俊]

『八木心一著『筑波山がまの油物語 口上「さあさあお立ち合い」の成立と展開』(1984・崙書房出版)』『井之口章次著『筑波山麓の村』(1985・名著出版)』『読売新聞社編『筑波山はいま 人々の暮らしと自然』(1993・筑波書林)』『木村繁著『筑波山』(2000・筑波書林)』『朝日新聞社編・刊『週刊日本百名山 朝日ビジュアルシリーズ丹波山・天城山・筑波山』(2001)』


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精選版 日本国語大辞典の解説

つくば‐さん【筑波山】

茨城県中央部にある筑波山地の主峰。山頂は男体(なんたい)山、女体(にょたい)山の二峰に分かれる。関東平野の東部に遠く裾野をひいてそびえ、関東の名山として富士山と並び称される。歌枕。標高八七七メートル。筑波嶺(つくばね)。つくばやま。〔文明本節用集(室町中)〕

つくば‐やま【筑波山】

(古くは「つくはやま」) =つくばさん(筑波山)
※万葉(8C後)一四・三三八九「妹が門いや遠そきぬ都久波夜麻(ツクハヤマ)隠れぬ程に袖ば振りてな」

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世界大百科事典内の筑波山の言及

【歌垣】より

…初めは春の国見と相関したともいうが,ともかく豊作の予祝や感謝と結んだ歓楽であった。場所は,山の高み,野,水辺,また言霊(ことだま)の行きあう衢(ちまた)の市(いち)の広場など,とくに常陸筑波山・童子女(うない)松原(《常陸国風土記》),肥前杵島(きしま)岳(《肥前国風土記》),大和海柘(石)榴市(つばいち)(《万葉集》巻十二。現,桜井市)・軽(かる)(軽市(かるのいち)。…

【ガマの油売】より

…凝った扮装でガマから油をとる一部始終を説き,日本のみならず中国の伝説まで引いてガマの霊力を語り,ついには刀をとり出し,切る切らぬと客を引きつけて膏薬を売る。伊吹山と筑波山が有名で,今にその口上を伝える芸人もいる。【織田 紘二】。…

※「筑波山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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