日本歴史地名大系 「神庭洞窟遺跡」の解説
神庭洞窟遺跡
かにわどうくついせき
荒川の右岸にせり出した石灰岩の露頭の下部に位置する複合遺跡。間口が約一〇メートル、奥行も九メートル余もあって、立地・景観とも優れ、全国屈指の洞穴遺跡である。昭和二〇年代から前後四回、発掘調査が行われた。遺物を包含する層は上下二層に大別され、下層の洪積世末期と考えられる黄褐色粘土層からはチャート製の尖頭器、黒曜石、チャート製の掻器・剥片、シカやイノシシの骨片、魚骨片などが出土し、上層の黒褐色土層からは、縄文草創期の微隆起線文土器や早期の撚糸文土器、前期の諸磯式、甲信地方中部高地との関連が注目される中期初頭の土器、後期の堀之内式土器、骨針やイノシシ、シカ、カモシカ、アナグマ、サル、ウサギ、ムササビ、ネズミ、キジなどの骨片も出土した。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報