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髄鞘 ずいしょうmyelin sheath

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

髄鞘
ずいしょう
myelin sheath

ミエリン鞘ともいう。脊椎動物の神経繊維の周囲を包んで,有髄神経をつくり上げている鞘。神経繊維に随伴しているシュワン細胞細胞膜が伸び広がって,何重にも神経繊維を取巻いたものである。髄鞘は一般の細胞膜よりも脂質に富んでいて,神経の白色光沢はこの髄鞘の色調である。特にスフィンゴミエリンなどの神経に特有の脂質を含む。髄鞘には縦方向に随所にくびれ目があって (ランビエの絞輪という) ,興奮はこのくびれ目ごとにとんで伝わっていくので (跳躍伝導) ,有髄神経は,髄鞘をもたない無髄神経よりも伝導速度が大きい。

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大辞林 第三版の解説

ずいしょう【髄鞘】

神経繊維の軸索の表面をおおう円筒状あるいは樋とい状の被膜。軸索に対する電気的絶縁装置で、太くて速やかな興奮伝導を行う神経繊維に見られる。ミエリン鞘。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

髄鞘
ずいしょう

神経線維は一般に神経軸索とその周囲を鞘(さや)状に取り巻いている被膜からなるが、この鞘状被膜を髄鞘とよぶ。髄鞘は軸索の保護のほか、一種の絶縁体などの役をしている。また、髄鞘は脊椎(せきつい)動物の神経線維に限ってみられるもので、軸索の周囲に存在する鞘細胞の原形質が薄く伸展して軸索を一重のひだか重層のひだをつくって、渦巻状に取り巻いたものである。鞘細胞は末梢(まっしょう)神経線維の場合はシュワン細胞であり、中枢神経線維の場合は稀(き)突起膠(こう)細胞(オリゴデンドログリア細胞)である。電子顕微鏡で見ると、これらの鞘細胞の細胞膜は軸索を螺旋(らせん)状に取り巻き、重層となった細胞膜は互いに癒合し、ミエリンとよぶ複屈性の類脂質(リポプロテイン複合体)をつくる。細い神経線維では髄鞘は薄いか欠如しているが、太い神経線維では髄鞘も厚い。髄鞘がみられる線維を有髄神経線維、欠如している線維を無髄神経線維とよぶ。有髄神経線維が伝える興奮伝導の速さは、無髄神経線維よりも速く、有髄神経線維のなかでは、髄鞘の厚いものほど伝導速度は速い。髄鞘には軸索の長軸の方向に沿って一定間隔でランビエ絞輪(フランスの病理学者ランビエL. A. Ranvierにちなむ)とよぶ間隙(かんげき)があり、この部分では髄鞘は欠如している。この間隙は神経線維の分枝が出たり、イオンの出入や種々の物質交換が行われる場所と考えられる。なお、髄鞘は過敏なため、軸索が切断されるとただちに変化し始める。[嶋井和世]

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世界大百科事典内の髄鞘の言及

【神経系】より

…軸索は一般に長い突起であるから(脊髄から四肢の末端部にまで達するもの,大脳皮質から脊髄の末端部にまで達するものなど),神経繊維nerve fiberと呼ばれることが多い。また,軸索はしばしばリン脂質を主成分とする鞘(しよう)(髄鞘またはミエリン鞘myelin sheath)をかぶっている。髄鞘をかぶっている軸索を有髄繊維(有髄神経繊維),髄鞘をもたない軸索を無髄繊維(無髄神経繊維)と呼ぶ。…

※「髄鞘」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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