私部村(読み)きさべむら

日本歴史地名大系 「私部村」の解説

私部村
きさべむら

[現在地名]交野市私部・私部一―八丁目・私部西きさべにし一―五丁目・私部南きさべみなみ一―四丁目・青山あおやま一―五丁目・向井田むかいだ一―三丁目・天野が原あまのがはら町一―三丁目・幾野いくの一―二丁目・郡津こおづ五丁目・倉治くらじ二―三丁目

郡津村・倉治村南方に位置し、江戸初期までは山地の谷口付近(上河原)に集落があったが、傍示ほうじの赤山からの土砂流出が多いため西方平地部に移動したと伝える。昭和三〇年(一九五五)上河原かみかわらの小規模な発掘が行われ、江戸初期の陶器や土鍋などが出土した。地名は古代に后妃のために置かれた私部(きさいべ)に由縁すると考えられ、「きさいべ」ともいう。「河内国小松寺縁起」に引く保延五年(一一三九)の勧進奉加帳および久安元年(一一四五)の近衛天皇綸旨に私部郷がみえるが、この史料は検討を要する。当地光通こうつう寺の応永二一年(一四一四)年紀を有する鐘銘には「私辺村」とある。室町時代、当地には山城石清水いわしみず八幡宮領があり、八幡宮神人がいた。永享五年(一四三三)八月一五日の石清水八幡宮駕輿丁前床神人交名(石清水文書)に「下私部」の四人の神人の名前があげられ、永正一五年(一五一八)四月二二日の室町幕府奉行人連署奉書(同文書)によれば、私部郷地下人が石清水八幡宮造営用材の伐採を妨げたとしてその停止が命じられている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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