日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋山角左衛門」の意味・わかりやすい解説
秋山角左衛門
あきやまかくざえもん
(?―1711)
江戸中期の義民。安房(あわ)国(千葉県)安房郡湊(みなと)村の名主。いわゆる万石(まんごく)騒動の首謀者の一人。1711年(正徳1)に、北条藩屋代越中守(やしろえっちゅうのかみ)忠至(ただむね)(のち忠位(ただたか))の領地、安房郡27か村(石高1万0035石)の農民は、地方(じかた)役人川井藤左衛門の過酷な年貢、諸役の賦課に反対して全領をあげて老中へ越訴(おっそ)をした。これにより角左衛門ら3人の名主は首謀者として、川井によって死刑にされた。しかるに農民はひるまず、かえって団結を固め、600人が江戸に出て、まず藩主に、ついで老中に直訴した。幕府評定所(ひょうじょうしょ)は、川井父子を死刑に、領主忠至も封地没収とする裁決を下し、農民側の勝利に終わった。館山市国分に角左衛門ら三義民の墓がある。
[横山十四男]